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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第4章 四週目
「うわー…ちっちゃーい…可愛い…」
「産まれたてよりは、だいぶ大きくなりましたけどね」

今ちょうど機嫌が良いので、と言われたので、スグリ姫とバンシルは、先に赤ちゃんに会うことにしました。
行ってみると赤ちゃん用の小さな寝台に寝かされて、手足をばたばたと動かしてふぐふぐとご機嫌な様子です。

「抱っこしてみますか?」
赤ちゃんの母親であるバンシルの兄嫁に言われて、姫はいいの?と聞き返しました。
「首も据わりましたし、怖いことは無いですよ…手はこうやって、あとはここに、」
「ぅわあ…抱っこできたぁ…」
母親に手渡され、こわごわ抱っこした姫は、赤ちゃんの柔らかさと暖かさに、ほわほわと笑顔になりました。

「可愛いね…赤ちゃんの匂いがするー…いい子ねー…」
姫の方を珍しげに見ているように見える目は澄んできらきらしており、みずみずしくはちきれそうな体は、ずっしり重たく感じられました。
「そうしてると、姫様の赤ん坊みたいですね」
「え、そんな、」
ベラにからかわれた姫は、お母さんに悪いわ、と焦りましたが、母親はころころと笑っていました。
「ええ、ほんとに、お義母さんの言う通り。スグリ姫様も、もうじきですよ」
ご婚約おめでとうございます、と言われて、姫はありがとう、と曖昧に笑いました。

そうしているうちに、赤ちゃんは姫の服をもそもそ探り始め、その上胸をふにふに触り始めました。
「あら、まあ」
「あ!こら」
それを見たバンシルは、良いですか?と姫の手から赤ちゃんを抱き上げて、母親に返しました。
「バンシル…もうちょっと抱っこしてたかった…」
「おっぱいを探すってことは、お腹が空いたんでしょう。それに、故郷の誰かさんに拗ねられても困るんで。」
「へ?」
「この子、男の子なんですよ。」
「…はぁ?……あ!ごめんなさい」

赤ちゃんの母親がお乳をあげようとし始めたのを見て、姫は席をはずそうとしました。
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