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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第4章 四週目
赤ちゃんを見たあと昼食を取り、バンシルは兄嫁への御礼も兼ねて鶏の世話の手伝いに行き、スグリ姫はベラにお料理を教えてもらうことになりました。
「ベラー。これでいいかしら?」
「ええ、上出来ですよ」
スグリ姫は、器用な性質であることと、城で厨房に出入りしていること、バンシルにくっついて時々ベラに会いに来た時に一緒に料理を作ったりしたことから、料理はそこそこ出来ました。
ただ、木工と同じように、出来たものを形にするところだけをやることが多かったので、皮をむいたり下ごしらえをしたりすることには、あまり馴染みがありませんでした。
「…だけど、せっかくこうやって憶えても、野菜を剥いたり切ったりお料理したりするの、また憶えなおさなきゃいけないかもなのよね」
「南には南の野菜がありそうですもんね」
ベラは姫が切った野菜を鍋に入れながら、姫の溜息交じりのぼやきに答えました。
「そうなの。同じものでも、大きさが違ったりもするんですって」
厨房で聞いた南に近い出身の料理人の中には、ズッキーニがかぼちゃくらいになると言っていた者も居て、ズッキーニが大好きな姫は、南って夢の国だわ!と、その時ばかりは喜びました。
…が、大臣の話を聞いて以来、南の知識をいろいろ集めてはみるものの、姫の気持ちはどうしても、どんより方向に向かいがちでした。
「姫様。お母様とお父様の馴れ初めは、お聞きになってますか?」
「え?」
今度はサラダにする野菜を切っていた姫は、ベラの言葉に手を止めました。
「いいえ…最近まで、お母様は御自分の口からは、お話できなかったし」
「ああ、そうでしたね。忘れてましたよ」
ベラはそう言うと、鍋の火加減を調節して、スグリ姫の切っていた野菜をまとめて大皿に入れ、ありがとうございます、と言いました。
「お聞きになります?馴れ初め。」
「え!?いいの?!」
「ええ。…でも、ツグミには内緒ですよ」
そうしてベラは台所仕事を教えてくれながら、スグリ姫の父と母の馴れ初めを話して聞かせてくれました。
それは初めて聞くことばかりで、両親にそんなことがあったのかと思うと、何か気恥ずかしいような話でした。
「ベラー。これでいいかしら?」
「ええ、上出来ですよ」
スグリ姫は、器用な性質であることと、城で厨房に出入りしていること、バンシルにくっついて時々ベラに会いに来た時に一緒に料理を作ったりしたことから、料理はそこそこ出来ました。
ただ、木工と同じように、出来たものを形にするところだけをやることが多かったので、皮をむいたり下ごしらえをしたりすることには、あまり馴染みがありませんでした。
「…だけど、せっかくこうやって憶えても、野菜を剥いたり切ったりお料理したりするの、また憶えなおさなきゃいけないかもなのよね」
「南には南の野菜がありそうですもんね」
ベラは姫が切った野菜を鍋に入れながら、姫の溜息交じりのぼやきに答えました。
「そうなの。同じものでも、大きさが違ったりもするんですって」
厨房で聞いた南に近い出身の料理人の中には、ズッキーニがかぼちゃくらいになると言っていた者も居て、ズッキーニが大好きな姫は、南って夢の国だわ!と、その時ばかりは喜びました。
…が、大臣の話を聞いて以来、南の知識をいろいろ集めてはみるものの、姫の気持ちはどうしても、どんより方向に向かいがちでした。
「姫様。お母様とお父様の馴れ初めは、お聞きになってますか?」
「え?」
今度はサラダにする野菜を切っていた姫は、ベラの言葉に手を止めました。
「いいえ…最近まで、お母様は御自分の口からは、お話できなかったし」
「ああ、そうでしたね。忘れてましたよ」
ベラはそう言うと、鍋の火加減を調節して、スグリ姫の切っていた野菜をまとめて大皿に入れ、ありがとうございます、と言いました。
「お聞きになります?馴れ初め。」
「え!?いいの?!」
「ええ。…でも、ツグミには内緒ですよ」
そうしてベラは台所仕事を教えてくれながら、スグリ姫の父と母の馴れ初めを話して聞かせてくれました。
それは初めて聞くことばかりで、両親にそんなことがあったのかと思うと、何か気恥ずかしいような話でした。