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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第7章 幕間
「…わかった。信じる。」
よろしくお願いします、と言うと、男の子は自分を抱き上げたまま、よし、と頭を撫でてくれました。
「いいか、一人で落ちる時は、手とか足は体にくっつけろ。でも、力は入れすぎるな。で、なるべくまっすぐ、足から落ちるんだ」
「うん」
「今は、俺にくっついとけ」
「うんっ」
言われた通りにぎゅうっとくっつくと、くっつきすぎだ、と笑われたので、慌てて緩めにくっつきなおしました。
「うん、それでいい。一人のときもそんくらいだぞ」
「ん」
「あとは…落ちたら何もすんな。泳ぐと間違って底に行っちまうことがある。何もしなけりゃ勝手に浮く」
「うん、」
まっすぐ足から、ぎゅうっとじゃなくてきゅっとくっつく、何もしない、とぶつぶつ良いながら頭に叩き込みました。
「うん、大事なのは、そんくらいだな。あとは、決めるだけだ」
「きめるだけ…」
「どうする?やるか?やめとくか?」
そう聞かれて男の子の顔を見上げましたが、濡れた髪が顔にかかっているのと木漏れ日が邪魔をして、顔の全部は良く見えません。
ただ、その口元が面白そうに、にやっと笑っているのだけが見えました。
「…やるっ!」
「よし。」
そう言うと男の子は一旦抱き上げていた手を離し、欄干にひょいっと上って、こちらに手を差し出してきました。
「来い。飛ぶぞ」
「うんっ!!」
その手を取って欄干に上り、きゅっと男の子にくっついて。
とん、と欄干を軽く蹴り、一緒に空へと飛びました。