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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第2章 二週目
サクナが故郷に帰ってから、十日余りが経ちました。

スグリ姫は月の障りが落ち着いて、少し元気になりました。
昨日は、姉の様子を心配したハンダマ王子と妻のレンブ妃が部屋にやって来て賑やかに過ごしました。
幸せそうな人を見ると、自分も幸せになるものです。
体調が良くなってきたこともあるのか、淋しい気持ちを感じても、それはそれと割り切れるようになり、必要以上にめそめそするようなことは無くなって来ました。
レンブ妃に誘われて、何日かぶりに外に出て、散歩をしたりも致しました。

それで気分がだいぶ晴れたので、スグリ姫は「やることがないと人はどんよりする、逆にどんよりしたときは無理矢理何かをやった方が良い」という仮説を立てて、どんよりを撲滅するために、サクナの居ない間にやることの計画を立て始めました。
今のところ、レンブ妃と時々お茶を飲むこと、バンシルの家にお兄さんの赤ちゃんを見に行くこと、ついでにバンシルの母のベラに料理を教えてもらうこと、その前に厨房にもこっそり行って南の方ではどういう料理が作られているのか調べてみること、誕生日前に王様と王妃様に謁見すること、誕生日のための服の仮縫い、などが、やりたいこと候補に入っておりました。

「あとはー…そうねー…」
姫は思いついた「やりたいこと候補」を眺めながら、見落としが無いかを考えました。
「バンシルー。誰か指物教えてくれる人はいないかしら」
「…姫様…また何を特殊な趣味を増やそうとしてるんですか…」
バンシルは、顔には出しませんでしたが、姫が元気になったことを、大変喜んで居りました。
喜んでは居りましたが、元気になった途端にまた姫らしからぬ方向に暴走し始めるのかと思うと、眉間に皺が寄りました。
しかも、今は、姫の暴走に巻き込まれながらも止めようとすることができる貴重な人材が、故郷に帰って不在です。
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