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スグリ姫の試練(くすくす姫後日談・その3)
第2章 二週目
(もっとも、あの婚約者様は姫様の暴走を止めようとすることもあるけど、一緒になって暴走を加速させることもあるんだったわね)
バンシルは暴走を最小限に食い止めるべく、姫の質問に質問を返すことにしました。
「それ、今やってる木工じゃ、駄目なんですか?」
「うーん…もっと小さいもので、作りたいものがあるのよね」
木工でもスグリ姫の目的を果たそうと思えば果たせなくは無かったのですが、鋸・錐・ノミ・木槌・金槌だけでは、小物作りには限界がありました。
「もうちょっと、細かいことしたいの。鉋もかけてみたいし。」
「…それなら…どこまで出来るか分かりませんが、家の父親に聞いてみますか?」
姫の話を聞いて、バンシルはそう提案しました。
バンシルの家では、家を補修したり家具を作ったりということは、手先が器用な父親と、次兄がやったりしておりました。素人の仕事ですから本格的な指物は難しいでしょうが、姫の話の様子だと、それほど難しいことを望んでいるのではなさそうだ、と思ったのです。
「ああ、それは良いわね!赤ちゃんに会いに行くときに、お話聞けたら嬉しいわ」
「それでは、そのように致しましょう。それで用が足りなかったら、誰かをお探し申し上げますよ」
スグリ姫はバンシルにありがとう!とお礼を言うと、やりたいこと候補に嬉々として付け加えました。
「…ああ、姫様。」
そんなスグリ姫の様子を見て、バンシルは頼まれていたことを思い出しました。
「なあに?」
「一つ、それに足して置いてほしいことがあるんですけど」
「何かしら?バンシルが、私とやりたいこと?」
スグリ姫はやりたいことをできそうな順に並べ替えながら、バンシルの返事を待ちました。
「やりたいことじゃなくて、頼まれ事ですね。大臣様が、お会いになりたいそうですよ。」