この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
アムネシアは蜜愛に花開く
第4章 Ⅲ 突然の熱海と拗れる現実

「あっ、駄目っ、ひあっ、それ駄目……っ、ああっ、ぁぁあ……っ」
「聞こえる? ぐずぐずに蕩けきっているお前の音。なにが濡れねぇ、だよ。俺だけに今もこんなに反応して感じるなら、もう決定的じゃね? ……お前は、俺が好きなんだよ」
「ちが、ちが……」
そうだ。
決定的なくらい、わたしは巽が好きなのだ。
巽に断言されて、さらに好きという気持ちが濃くなる。
「じゃあお前は、安っぽいAVみたいな乱交現場で興奮したわけ?」
「耳に、耳に息を吹きかけて喋らないでよ……っ」
「アズ、俺のものになれ」
命令調の熱っぽい声を吹き込まれると、頭の芯まで巽の色に染められてしまう。
「俺に溺れろ」
巽の指は音をたてて蜜壷の中に滑り込む。
異物を体内に迎えたわたしは、目をチカチカとせながら仰け反り、それに慣れようとハッハッと浅い息を繰り返した。
「アズ、好きだ」
……息が止まる。
「俺に堕ちろよ」
段々と声が切ないものとなってくる。
「……好きなんだよ、お前が。誰にも渡したくない」
わたしの身体が、巽の言葉が嬉しいときゅんきゅんと疼いているのを、わたしの深層にいる巽に感じ取られてしまった。
「……やっぱりお前、俺が好きだろ」
「ち、違う……っ」
「俺が好きだというたび、お前の中きゅうきゅうと俺の指締め付けて悦んでいるくせに。もう観念して、俺にすべてを委ねろ」
昨日より心がぐらついている。
巽の気持ちを知ってしまったから、巽に相手がいるからと拒めない。
巽と結ばれたい気持ちの方が強くなり、同時に、まだなにもけじめをつけていないのに、このまま快楽に流されてしまっていいのかと、葛藤する。
そんなわたしにお構いなしに、巽の指はぐじゅぐじゅと重い音をたてて、ゆっくりと抽送を始める。
疼く中を擦られる度に、甘い痺れが身体に奔り、わたしから断続的な声が止まらない。

