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アムネシアは蜜愛に花開く
第5章 Ⅳ 歪んだ溺恋と束の間の幸せ

「あああっ、なに、それなにっ」

 わたしから出るのは、歓喜に満ちた甘い声。
 狭い浴室で反響すると、巽はうっとりとした顔で微笑んだ。

「悦んで……るな、俺のもお前のも」

 前屈みになって巽の首に掴まりながら喘ぐと、熱く息づくそれが今度は全体的に、何度も表面を擦り上げてくる。

 その質量あるものの蹂躙に、わたしの内股は快感に震えた。

「巽……巽……ああ……っ」
「ん……っ、あ……っ」

 思わず陶酔した声を出してしまえば、わたしの耳元で巽も同調したように甘い声を出し、ねっとりとした視線が絡むと、唇が重なった。

 巽は舌を絡ませながら、ゆっくりだった動きを早めていく。

「ん、んんっ」
「は……っ」

 じゃぶじゃぶと音がして、巽がわたしの太股を掴んで腰を動かば、先端が花園を散らしていく荒々しさに、くらくらする。

「ああっ、いいっ、それ気持ちいいっ、巽……っ」
「はあっ、……お前が昨日……拒絶したけど、これ嫌?」
「嫌……じゃない。巽……巽が熱くて大きいよ、巽を感じる……」
「ああ、俺も熱くて柔らかいお前を感じる。ああ、中にぶすりと挿れてぇけど、お前の消毒もしねぇとな」

 蜜口を掠るだけの硬い先端が、わたしの蜜壷の浅いところに入る。
 わたしは背を反らすが、疼いていた部分に滾るような巽の感触を感じて、一気に光が散る。 

「入ったの、これくらい?」
「……あああ、駄目、イク、イク……っ、ああああああっ」
「馬鹿、こんな先っぽでイクなって……」

 そう笑いながら、巽は収縮するわたしの中から抜かないまま、ねっとりと舌を絡ませる情熱的なキスをしてくる。
 唇が離れた時、熱を帯びたその目が甘く細められた。
 
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