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アムネシアは蜜愛に花開く
第5章 Ⅳ 歪んだ溺恋と束の間の幸せ

とろりとした目が絡み合って揺れる。
自然と唇を重ねながら、巽は囁く。
「十年ぶりだな……お前の中。……俺、あいつを見て、無理矢理がどんなにお前にとって辛いことか、改めて反省した。本当にごめん」
「……十年前は、合意、だったの。幸せだったよ?」
すると巽は泣き出しそうな顔で笑うから、わたしも泣き出しそうになる。
「アズ……好きだよ。昔からずっと」
「……わたしも巽が好き。苦しいほど」
キスが深くなり、浅瀬の抽送をしたまま巽はわたしの腰を回す。
「んんん、んんんんんっ」
角度が変わった巽の悪戯に、わたしは仰け反ると、巽はわたしの胸の頂きを吸い付き、反対の手では硬くしこった蕾を縒るようにして強く捏ねてくる。
「あぁぁんっ、巽、イク、イッちゃう……っ」
結合部分からせり上がるものが次第に輪郭を持ち、身体に走り始める。
「もうちょっと……はぁっ、もうちょっと待て」
「んん、んん……ああ、巽、巽……ぎゅっとして」
あますところなく密着しながらわたしの身体が震えて果てを迎える。巽から荒い息が出ると同時に膣壁が膨張して震え、そして巽は自分自身を引き抜くと、湯に白い欲を吐いた。
巽が愛おしくて、貪り合うように長いキスをした。
そして――。
「巽、たつ……ああああっ」
「アズ、とっても可愛い。いいよ、何度でもイケよ」
ベッドでも縺れ合うようにして、睦み合いの真似をする。
閉じたわたしの腿の間から、巽の先端が出入りしている光景は、あまりにも卑猥過ぎ、そして直に触れあう巽の熱と堅さが気持ちよくてたまらず、わたしは何度も果ててしまった。
あくまで疑似の素股の形を取ったのは、口紅の完成は建前で、今のわたしの精神状況を考え……愛のための行為というより現実逃避をしたいための行為に近かったことを、見抜かれていたからだろう。
このような最悪な形で怜二さんと由奈さんと別れることになったわたしの傷心を、快楽に逃げることでまぎらわせようとしていることを巽は知り、泣き叫ぶわたしを何度も果てに昇らせながら、愛を語り眠らせた。
「アズ、好きだ――」
壊れないものも、ここに在るのだと囁きながら――。

