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アムネシアは蜜愛に花開く
第5章 Ⅳ 歪んだ溺恋と束の間の幸せ

「実は私、広瀬氏がユキシマの制服着た受付嬢に書類を渡しているのを、喫茶店で見たことがあるんだ。途端にユキシマの先行販売よ。あれは逢い引きではないよ、〝取締役によろしく〟と言っていたし」
「そんな……まさか怜二さんが……」
「ぶっちゃければ、それだけじゃないんだ。私の企画も盗られて広瀬氏の出世道具になったし」
「え……」
「それも巧妙に少し変えて、詰れば言い逃れするから面倒になってね、私も。次に頑張ろうと思った。だけどもやもやはしていたから、杏咲ちんが付き合ったの、正直複雑だった。杏咲ちんが利用されたりしなければいいなと思っていた」
「香代子……」
「皆から慕われている人情味厚い男、確かに面倒見がいい面もあったよ。だけどさ、言っちゃ悪いけれど、たかが失恋で、進退に揺れるルミナス社員見捨てて郵送で済まして、アムネシアで頑張ろうと言いながら、既にひとりで再就職しようと皆を見捨てる準備していたんだよ。それと由奈嬢も、私昔、あざといって言ったことがあったんだけど」
「うん」
「彼女も、王子様が~と言っていながら全然その気がないのに、宴会で杏咲ちんに話しかける男には媚び売ってるんだよ。それによくスマホ弄るじゃない、杏咲ちんのも。まるで恋人の独占欲だよね」
GPSまでつけられていましたとは、さすがに言えない。
「前、休憩室で彼女が一心不乱にスマホ弄っていたから、こっそりと覗いてみたのよ。そうしたらなんと、レズのアダルトグッズよ」
一緒に使おうと見せて貰いましたとも、言えない。

