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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く

「俺の指、そんなに咥えこんで美味しい? 引き千切られそうなんだけど」

 甘い声にぞくぞくして身震いをする。
 さらにぐじゅぐじゅと淫らな音をたてる刺激に気が変になりそうで、自分から巽の唇をねだって、舌を絡ませ、泣きながら上り詰める。

「――っ、――っ!!」

 まだびくんびくんと痙攣している身体から巽の指は出て行かず、ゆっくりと優しく抜き差しが続けられる。

「まだ溢れて絡みついてくる。お前の中、どれだけ俺に焦がれていたわけ? 早く言えよ、俺が欲しいって。俺だけが求めてるかと思って寂しかったのに」

 それから長く情熱的なキスが続いた。身体の芯が甘く痺れて溶けてくる。

 巽なりのけじめなのか、あれから一度も触れようともせず、毎日送り届けてくれたり、ご飯を食べて帰ることはあったけれど、首や頬にキスはあっても、唇のキス以上はしないという健全な関係が続いていた。
 
 しかし三日前、うちで巽とご飯を食べていた時、小包が届いた。
 差出人は見覚えがない会社名で、包みを開けて見ると、そこにはピンクローターのセットがあり『厳正に抽選させて頂いた結果、ご当選されましたので届けします』とのメッセージカードがつけられて、卑猥なカタログが入っていた。

 これはラブローションを買った会社で、WEBでの購買時に「応募する」のチェックを入れたことを思い出したが、それがなにか確認した覚えがない。
 つまり、別に欲しくないものが当選して届けられたのを、よりによって禁欲中だった巽に見られてしまったわけで、巽は当然のようにぷっつんときてしまったらしい。
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