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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く

 そして毎日は飛ぶように過ぎていく。

 怜二さんには来訪時間を予想されないために、様々な時間帯でユキシマを訪れたが、依然義母は会ってくれなかった。

 後ろから怜二さんや由奈さんの声が聞こえた時はヒヤヒヤしながら全力逃走しながらも、皆勤賞よろしくでユキシマに通い続けるわたしを見兼ねて、受付嬢もシュークリームを受け取るお返しとばかりに、彼らに会うことのない安全な時間帯を教えてくれるようになったため、なんとか毎日頑張ることが出来たように思う。

 会社が敵同士であろうとも、勤務している人達は同じ人間。
 毎日顔を見合わせれば気心も知れる仲となり、義務的な挨拶以外にほんの少しだけでも情が込められれば、情のない義母への憂いを癒やされて帰って来る。

「本当に、本当に……素晴らしいです」

 斎藤工務店は納期前に、繊細な模様とアムネシアの花がついた素晴らしいケースを作り上げてくれて、わたしはその場で大泣きした。この素晴らしさに対する感動や感謝をきちんと伝えられない、自分の語彙力のなさを呪いながら。

 巽が指揮している色については、香代子が可能なまでに詰めてくれたおかげで、アムネシアの技術と合わせて、瑞々しく濡れたアムネシアの色が出ることが出来た。

「杏咲たん、どうよ? 感想をどうぞ!」

 それを見たわたしは、また感動に泣いてしまった。

 アムネシア全社員でひとつひとつ点検しながら手作業でケースに詰めていく。全員でしているとはいえ、すべてを終わらし、朝一でショップに回すには、完全に徹夜作業となる。

 そして、発表当日の太陽が昇った――。
 
 わたしが倉庫から、商品を詰める段ボール箱をせっせと運んでいると、それが突如半分なくなった。

「お疲れ」

 手伝ってくれたのは、ネクタイ外しワイシャツ姿の巽だった。
 廊下の窓から差し込む朝日を浴び、巽の笑顔が眩しい。
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