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アムネシアは蜜愛に花開く
第6章 Ⅴ アムネシアは蜜愛に花開く

「大人になり親のように誰かに恋をする子供に、庇護をする母の役目に限界がくることはお気づきのはず。だけど、限界が見える母の役目と、母子間の愛は同等ではない。母子の愛は永遠です」
「……っ」
「若くても老いても母は母。子供にとってはなにも変わらないことに、気づいて欲しいのです」

 義母は寂しくて、怖れているのだ。
 またひとりになることを。

「あなたと巽は血が繋がっているというだけで、無条件で絆がある。その領域に他人(わたし)が踏み込めないだけの強固なものがあって、なにを怖れるのです? 巽はお義母さんを捨てません。わたしがそんなことをさせやしません。母親の顔をよく思い出せないわたしにとっても、あなたは母なのです」

 孤独を嫌うからこその執着と独占欲。
 
「だから安心して、巽に無償の愛を注いであげて下さい」

 巽に捨てられたくなくてセックスで愛を感じ取ろうとしていた……恋にも似た歪んだ溺情は、いつかは聖母のような慈愛に変わると、わたしは信じたい。
 
「巽の声に、どうか耳を傾けて下さい。聞こえるはずです、巽の心の叫びが」

 つぅと義母の目から涙が零れた時、義母はくるりと背を向けて言う。

「あなたも巽も、ここに来いとうるさくて。なにが始まると思ったら、とんだ茶番だわ」

 巽もまた、義母を呼んだのか。
 呼んで、わかって貰いたかったのか。
 すべてを公にしてもいいほど、彼も切羽詰まっていた。

「……いい加減、シュークリームは飽きたから、今度はケーキにして」
「え?」
「それと、呪いの手紙はもうやめて貰える? 捨てるに捨てれないじゃないの」
 
――アズちゃん、お母さんと美味しいケーキを食べよう。
――お風呂、一緒に入ろうか、アズちゃん。

「またね、アズちゃん」

 そして彼女は扉に向かって歩いていく。
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