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アムネシアは蜜愛に花開く
第2章 Ⅰ 突然の再会は婚約者連れで

「そういえば、アムネシアとの統合の件、あるだろう?」
突然語りかけられて、わたしは思考を中断する。
現在、わたしが落とされたあのアムネシアとルミナスには、統合の噂がある。
と言うのも、アムネシアのターゲットは上品な金持ちマダムのために、それでは生き残れないと、就任したばかりの若い専務が自ら指揮を執り、若手の化粧品メーカーとして古くからの大規模データを持つルミナスに目をつけ、ルミナスの三嶋社長に統合を持ちかけている……というものだ。
アムネシアに入りたかったわたしとしては嬉しいけれど、仲間に恵まれ愛着が湧くルミナスの名前が無くなるという噂に、複雑な心境だった。
「統合はアムネシアの専務とルミナスの社長令嬢が結婚するからの、平和的提案だったらしい。ふたりは恋人で付き合って1ヶ月のスピード結婚をしようとしている。どうも専務がベタ惚れで押したみたいだけど」
「え、由奈さん……付き合っているひとがいたんですか!?」
「ああ、びっくりだ。あいつの口からではなく、別の方から聞いたんだ」
秘書課にいる三嶋由奈は、社長令嬢である上に大層な美女で、わたしより四歳年上であることを忘れてしまうくらい可愛らしい。
怜二さんの同期で仲がいいため、わたしにも友達のように接してくれる気さくで優しい女性で、おっちょこちょいでボケボケもしているから、同性としても守って上げたいひとでもある。
由奈さんから恋愛話を聞いたことがなかっただけに、意外だ。

