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僕の彩芽
第5章 五
……――数分後。豪は和服美人を連れて、リビングへ戻って来た。黒の着物に銀の帯。黒髪は後ろで纏め上げ、切れ長の瞳、色白の肌に赤い口紅が良く栄える。
「蝶子(ちょうこ)さん、どうしたんすか?」
「秋人さんは仕事?用事があったんだけど……」
「もう店行きましたよ!伝言伝えときましょうか?」
「良いわ。それより……あの子、誰なの?」
モデルみたい……綺麗~。そう思いながら蝶子さんという人をソファに座ったまま眺めていると、ちょうど視線が絡む。凛とした立ち振舞い。冷たい視線にも関わらず、私は何故か胸が高鳴った。
「あー……あいつは彩芽っす。秋人さんから拾われて、ここに住む事になったんすよ」
「ここに……?」
「親の借金が原因で風俗に売られてたんですけどね、ぜんっぜん使い物にならなくて!」
「そう……」
金髪をかきながら豪が説明すると、蝶子さんは相変わらず無表情のまま、此方へ近付いてきた。
「貴方、彩芽って言うの?」
「は、はい……」
何だろう……ちょっと怖い。もしかしてこの人が秋人さんの彼女……?私が秋人さんと一緒に住んでるから怒ってるのかな……。
「彩芽……」
氷の様に冷たく見つめられて、私は鼓動を速めた。
「可愛いっ!うちの店で働いて欲しいわ!」
だが唐突に抱き締められると、呆然とする。クールだったとは思えない笑顔で、蝶子さんは私の頬へ頬擦りした。