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僕の彩芽
第1章 プロローグ
* * *
もう足掻いても仕方ない。私は売られた。これからは、500万を返済するまで風俗嬢でいないといけない……。
「ほら、着いたよ!ここがキミのお店!」
大男がある店の前で立ち止まると、引き摺られていた私も同時に止まる。そして店の看板に視線を送り、顔を青ざめた。
「″チン☆パラダイス″……」
なんちゅう名前の店だ!センスねぇ!絶対働きたくねぇ!
「彩芽だったね?今日からはホモエって名前にしなさい!」
「ホモエ?!絶対に嫌だ!私ホモじゃないし!」
「あら?あんた、ニューハーフじゃないの?」
「違うし!列記とした女だし!」
「困ったわねぇ……うちはニューハーフ専門のお店なのに」
店前で大男と会話しながら、私はあることに気づく。ひょっとしてこの大男……ホモなんじゃなかろうか。話し方も、片手を頬へ当てる仕草も、考え出すとそうとしか思えなくなってきた。
「ホモエ、じゃあ違うお店紹介するわ。来て」
「い、嫌だぁぁぁ!誰か助けてぇぇぇ!」
大男からまたモッズコートの首根っこを掴まれると、私はじたばたともがく。だが、
「うるさいんじゃ、ボケェ!」
今まで温厚そうだった大男が急に豹変して怒鳴ると、すぐに暴れるのを止めてロボットの様に口を閉じた。