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僕の彩芽
第1章 プロローグ

 おっかねぇ。おっかな過ぎて、腰抜けそうだよ。見た目通り、怖いじゃん。ヤバい奴じゃん。

「てめぇは借金のかたに売られたんだよ!諦めて客に奉仕しときゃ良いんだよ!」

「はい!すいません!」

「源氏名、ホモエで異論はねぇな?」

「はい!ありません!」

「自分の名前言ってみろ」

「彩芽です!」

 大男が話す度に、規則正しく右手を額に当て、敬礼するも。

「違うだろうがぁぁぁ!お前はホモエだ!このブス!」

 ドスの効いた声で罵声を浴びせられると、全身を震え上がらせる。

「ひぃぃぃ!すいません!」

「おい、服脱いでみろ」

 そのまま乱暴に掴まれた、モッズコートの胸ぐら。冷酷に睨み付けてくる、豹の様な瞳。何でこんな寒空の下、脱がないといけないんだよ……凍死するわ!そんな事、口が裂けても言えないが。

「えっ……どうして……」

「仕事の前に、どんな体してんのかチェックすんだよ」

「でも、ここ、道端ですけど……道端アンジェリ◯ですけど……」

「わけの分からねぇこと言ってねぇで、脱げ!さっさと脱がないなら、俺が脱がすぞ!」

 私が動揺し過ぎたせいか、大男はうざそうに舌打ちすると、急に私の髪を引っ張った。

「痛っ!や、やめてくださいませんか?!」

「じゃあ早く脱げ」

 暴力反対!弱いもの虐め反対!結局人生は、力や権力のある強者が勝つのか……。

「分かりましたから……」

 脅しに屈し、私は恐る恐るモッズコートを脱ぐ。
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