この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
僕の彩芽
第6章 六
「秋人さん!蝶子さんに話して来ないと……!勝手に帰ったら怒られます!」
「蝶子ちゃんには話した。だから平気だ」
「蝶子ちゃん?!……い、いや、どうして私が此処で働いてること分かったんですか?」
店の玄関へ向かって歩きながら、秋人さんへ恐る恐る質問する。足元まである深紅のドレスを着ている事と高いヒールのパンプスを履いているせいか、歩きにくい。秋人さんと手を繋いでいるというのも、緊張するし……。
「蝶子ちゃんからLINEでお前を此処で働かせたいと連絡が来た。お前が化粧した写メ付きでな」
「……そういえば、秋人さんに話しとくって言ってた様な……」
「偉く変わったな。青虫が蝶になったか」
「蝶だなんて……私なんて、化粧して着飾っても蛾にしかなれませんから……」
階段の前で立ち止まった秋人さんからまじまじと見られると、恥ずかしくなりながら俯いた。すぐに落ち着いた声が聞こえてくると、耳を疑ったが。
「いや、可愛い。凄く」
……可愛いって、秋人さんから褒められた!何これ、凄く嬉しい!もしかしてポチから少しは昇格出来るかも……!