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僕の彩芽
第6章 六

「秋人さん!蝶子さんに話して来ないと……!勝手に帰ったら怒られます!」

「蝶子ちゃんには話した。だから平気だ」

「蝶子ちゃん?!……い、いや、どうして私が此処で働いてること分かったんですか?」

 店の玄関へ向かって歩きながら、秋人さんへ恐る恐る質問する。足元まである深紅のドレスを着ている事と高いヒールのパンプスを履いているせいか、歩きにくい。秋人さんと手を繋いでいるというのも、緊張するし……。

「蝶子ちゃんからLINEでお前を此処で働かせたいと連絡が来た。お前が化粧した写メ付きでな」

「……そういえば、秋人さんに話しとくって言ってた様な……」

「偉く変わったな。青虫が蝶になったか」

「蝶だなんて……私なんて、化粧して着飾っても蛾にしかなれませんから……」

 階段の前で立ち止まった秋人さんからまじまじと見られると、恥ずかしくなりながら俯いた。すぐに落ち着いた声が聞こえてくると、耳を疑ったが。

「いや、可愛い。凄く」

 ……可愛いって、秋人さんから褒められた!何これ、凄く嬉しい!もしかしてポチから少しは昇格出来るかも……!

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