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僕の彩芽
第6章 六
……――そのままドレスから私服に着替えてクラブの入口へ向かうと、後ろから蝶子さんが追い掛けてきた。申し訳なさそうな表情で、やはり目を見張る程美しい。
「ごめんねぇ、彩芽!秋人さん、彩芽を怒らないで。私が無理矢理連れてきたのよ」
「蝶子ちゃん、もうこいつを店に誘わないでくれ」
「でも、絶対彩芽は向いてると思うのに……」
「ダメだ。次はないと思え」
秋人さんは不機嫌そうに、入口の前で私が来るのを待っていた。蝶子さんを冷酷に睨んで……仲が良いと思っていたのに、蝶子さんにもこんな冷たく話すんだ……。
「ごめんね、彩芽……またこっそり来てね?」
「……は、はい!」
蝶子さんから秋人さんに聞こえない様に耳打ちされると、私は思わず返事をしてしまった。蝶子さんはそんな私を見て、にこりと微笑む。
「また遊びに来てちょうだい」
「彩芽、行くぞ」
……遊びに来るぐらいなら、きっと秋人さんも許してくれるかもしれない。
「はい!蝶子さん、サヨウナラ」
路上に停めている車へ歩き出す秋人さんから呼ばれると、私は蝶子さんへ頭を下げ、秋人さんの後を追った。