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僕の彩芽
第1章 プロローグ
同時に冷たい風が吹き、私の胸まで伸びた金髪と首筋を撫でた。風俗街の中心で、私何やってるんだろう。これも研修の一環なの……?風俗嬢、皆していることなの?
「ホモエ、ニットも脱げ」
「はい……」
モッズコートを大男に預け、顔を青ざめながら命令に返事をする。それから着ている黒いニットを脱ごうと、裾に手を掛けた。急に見知らぬ声が聞こえてくると、身動きを止めたが――……
「豪(ごう)、ここで何をしているんだ?」
「秋人(あきと)さん、新入りへの研修ですよ!」
「研修?ここで?」
大男と知り合いなのか、秋人と呼ばれた男はいつの間にか私達の側に立っていた。黒い上下のスーツに、白いシャツ、黒いネクタイ。大男と変わらない程の高い背丈。……何者だろう。というか大男の名前、豪と言うのか。
「この女が生意気なもんですから!少し痛い目合わせてやろうと思って!」
「……にしても、人の目を考えろ。客が来なくなるだろうが」
「すいません!」
秋人という男が何者だとしても、豪より権力があるという事は、豪が秋人という男に謝っている姿を見ればすぐに分かる。そして只者じゃないことも……
「……で、お前、何でここにいる?風俗嬢になりたいのか?」
冷たく睨まれると、私はビクッとした。
「いや……」
なりたいわけないだろぉぉぉ!とは言えず、そのままおずおず話したが。
「親が借金して。その肩代わりに風俗で働けって、こいつが……」
チラッと大男の方を見ると、大男から睨み付けられるも、私は気付かないふりをする。
「そうか……だったら来い」
「えっ……」
「ここはニューハーフ専門の店だ。別の店に案内する。そこで借金が消えるまで働け」
今度は秋人からニットの首根っこを掴まれ、引き摺られ始めると、私は再び抵抗した。