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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第3章 初めての夜ば…もとい、「お誕生日」の贈り物

「…実は、こいつもあの服と同じく、先代からの譲られ物だ」
新品じゃなくて悪ぃな、とサクナは苦笑しました。
「これは家代々の物じゃなくて、先代の持ち物を個人的に譲られたんだが、」
サクナはそこで言葉を切ると、姫の髪を撫でました。
「…この夏まではこいつを誰かに渡すことになるとは、夢にも思ってなかったな。」
「ふふっ」
姫は撫でられている手に頭を擦り寄せて、くすぐったそうに笑いました。
「そういう物なら、反対に新品じゃない事が嬉しいわ。ほんとに、ありがとう…あら?」
装飾品の入っていた場所を眺めていた姫は、あることに気が付きました。
「…装飾品、ここにも入ってた?」
箱の中には、足環と首飾りの収まっていた窪み以外に、もうひとつ窪んだところがありました。
考えてみれば、この手の組み合わせられた装飾品は、少なくとも三つ入っているのが通例です。
「あー…そうなんだが、」
「もしかして、なくなっちゃったの?」
もしかすると譲られる前か後かの長年の間に、ひとつなくなったのかもしれない、とスグリ姫は思いました。
「いや、有る。有るんだが…ちょっと」
「どうして?」
「……そこに入ってたのは、」
「へ?」
サクナは懐に手を入れて、握り拳にして出しました。
そしてそれをスグリ姫の目の前に突き出したので、姫は目を丸くしました。
「…こいつだ。」
そう言って開かれた掌の上には、金の指輪が乗っておりました。
「指輪は、女には特別なんだろ?こんな風にやるってのはどうかと思…おい!」
姫はサクナがごちゃごちゃ何か言っているのに構わずに、掌からひょいと指輪を取り上げました。
「これも、嵌めて。」
「え。」
掌に乗せた指輪を目の前に突き出され、サクナは言葉を無くしました。
「私が初めての恋人に初めて貰う大事な指輪を、私に自分で嵌めさせたいの?」
「…ああ。」
サクナは姫の手を掬うように手を添えて、掌の上に乗った指輪を、右手で摘んで取りました。
それから掬った左手で姫の右手をひっくり返し、手の甲に恭しく唇を付けました。
そして、指輪を右手に握ったままで、姫の指をすっと撫で、薬指を選ぶと指輪をそこに滑らせました。
金の指輪はするりと嵌まって、指にぴったり収まりました。
新品じゃなくて悪ぃな、とサクナは苦笑しました。
「これは家代々の物じゃなくて、先代の持ち物を個人的に譲られたんだが、」
サクナはそこで言葉を切ると、姫の髪を撫でました。
「…この夏まではこいつを誰かに渡すことになるとは、夢にも思ってなかったな。」
「ふふっ」
姫は撫でられている手に頭を擦り寄せて、くすぐったそうに笑いました。
「そういう物なら、反対に新品じゃない事が嬉しいわ。ほんとに、ありがとう…あら?」
装飾品の入っていた場所を眺めていた姫は、あることに気が付きました。
「…装飾品、ここにも入ってた?」
箱の中には、足環と首飾りの収まっていた窪み以外に、もうひとつ窪んだところがありました。
考えてみれば、この手の組み合わせられた装飾品は、少なくとも三つ入っているのが通例です。
「あー…そうなんだが、」
「もしかして、なくなっちゃったの?」
もしかすると譲られる前か後かの長年の間に、ひとつなくなったのかもしれない、とスグリ姫は思いました。
「いや、有る。有るんだが…ちょっと」
「どうして?」
「……そこに入ってたのは、」
「へ?」
サクナは懐に手を入れて、握り拳にして出しました。
そしてそれをスグリ姫の目の前に突き出したので、姫は目を丸くしました。
「…こいつだ。」
そう言って開かれた掌の上には、金の指輪が乗っておりました。
「指輪は、女には特別なんだろ?こんな風にやるってのはどうかと思…おい!」
姫はサクナがごちゃごちゃ何か言っているのに構わずに、掌からひょいと指輪を取り上げました。
「これも、嵌めて。」
「え。」
掌に乗せた指輪を目の前に突き出され、サクナは言葉を無くしました。
「私が初めての恋人に初めて貰う大事な指輪を、私に自分で嵌めさせたいの?」
「…ああ。」
サクナは姫の手を掬うように手を添えて、掌の上に乗った指輪を、右手で摘んで取りました。
それから掬った左手で姫の右手をひっくり返し、手の甲に恭しく唇を付けました。
そして、指輪を右手に握ったままで、姫の指をすっと撫で、薬指を選ぶと指輪をそこに滑らせました。
金の指輪はするりと嵌まって、指にぴったり収まりました。

