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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第4章 スグリ姫の「お誕生日」

「バンシル、ありがとう!お花の髪飾り、すっごく素敵…!」
姫は鏡の中の自分を見て目を丸くして、感激しながらバンシルに感謝を述べました。
「ありがとうございます。婚約者様の贈り物に負けないように頑張っちゃいましたが、その甲斐がありましたね。」
バンシルは、今日の姫は自分から見ても良い出来だ、と密かににんまりしました。
「サクナ、何ていうかしら…」
「さあ…。何て言うにしろ、姫様が綺麗過ぎてまた惚れ直すのは間違いありませんよ。」
そして挙動不審になる様が目に浮かぶようだ、とバンシルは思いました。
「……そうかしら…?お世辞でも、嬉しいわ…」
バンシルの言葉を聞いたスグリ姫は、薔薇色に火照った頬を両手で押さえました。その姿はお世辞でなく本当に愛らしかったので、バンシルの頭には、自分が男だったらサクナなんかに渡さないのに、という危険な考えが過りました。
「私が姫様にお世辞なんて言う訳ないでしょうが。本当に、お綺麗ですよ。今からこんなにお綺麗じゃ、お嫁入りの日の婚約者様が正気で居られるかが思いやられますね。」
「………え?」
花の香りのためか、姫の美しさのためか、バンシルも高揚していたのでしょう。
バンシルは、彼女に似合わぬ小さな小さな失言を致しました。
「…お嫁入り…っ」
バンシルはからかい混じりに姫を賞賛していたのですが、今の姫には言わない方がいい言葉を言ってしまいました。
姫にとって、お嫁入り自体は当然とても嬉しいことです。
けれど、先程花を貰ったときに、お嫁に行ったら誕生日をこんな風に祝うことは無くなるのだ、と思ったばかりなのです。
スグリ姫はバンシルの言葉で、お嫁入りの日が来たときのバンシルとのことを想像してしまい、再び涙が湧いてきました。
「バンシルぅ…」
「すみません、姫様。うっかりしました。」
バンシルは、自分の失言に心の中で舌打ちしながら、手巾を出して姫の涙を押さえました。
「バンシルぅう…お嫁入り、淋しい…」
「何言ってんですか。あんなにいちゃいちゃしてる癖に」
「だってっ…サクナはもちろん大好きだけど、バンシルだって、大好きなんだものっ…!!」
スグリ姫はそこまで言うと涙が溢れて来たらしく、バンシルに抱き付いて、本格的にめそめそし始めました。
姫は鏡の中の自分を見て目を丸くして、感激しながらバンシルに感謝を述べました。
「ありがとうございます。婚約者様の贈り物に負けないように頑張っちゃいましたが、その甲斐がありましたね。」
バンシルは、今日の姫は自分から見ても良い出来だ、と密かににんまりしました。
「サクナ、何ていうかしら…」
「さあ…。何て言うにしろ、姫様が綺麗過ぎてまた惚れ直すのは間違いありませんよ。」
そして挙動不審になる様が目に浮かぶようだ、とバンシルは思いました。
「……そうかしら…?お世辞でも、嬉しいわ…」
バンシルの言葉を聞いたスグリ姫は、薔薇色に火照った頬を両手で押さえました。その姿はお世辞でなく本当に愛らしかったので、バンシルの頭には、自分が男だったらサクナなんかに渡さないのに、という危険な考えが過りました。
「私が姫様にお世辞なんて言う訳ないでしょうが。本当に、お綺麗ですよ。今からこんなにお綺麗じゃ、お嫁入りの日の婚約者様が正気で居られるかが思いやられますね。」
「………え?」
花の香りのためか、姫の美しさのためか、バンシルも高揚していたのでしょう。
バンシルは、彼女に似合わぬ小さな小さな失言を致しました。
「…お嫁入り…っ」
バンシルはからかい混じりに姫を賞賛していたのですが、今の姫には言わない方がいい言葉を言ってしまいました。
姫にとって、お嫁入り自体は当然とても嬉しいことです。
けれど、先程花を貰ったときに、お嫁に行ったら誕生日をこんな風に祝うことは無くなるのだ、と思ったばかりなのです。
スグリ姫はバンシルの言葉で、お嫁入りの日が来たときのバンシルとのことを想像してしまい、再び涙が湧いてきました。
「バンシルぅ…」
「すみません、姫様。うっかりしました。」
バンシルは、自分の失言に心の中で舌打ちしながら、手巾を出して姫の涙を押さえました。
「バンシルぅう…お嫁入り、淋しい…」
「何言ってんですか。あんなにいちゃいちゃしてる癖に」
「だってっ…サクナはもちろん大好きだけど、バンシルだって、大好きなんだものっ…!!」
スグリ姫はそこまで言うと涙が溢れて来たらしく、バンシルに抱き付いて、本格的にめそめそし始めました。

