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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第4章 スグリ姫の「お誕生日」
「そんなことあるわきゃ無いでしょう。冗談です、冗談。ほら、お化粧直しますよ。」

それでもまだ「浮気…」と呟いている姫を見て、バンシルは化粧直しの準備をしながら、あんたの婚約者をなんとかしろ!と、サクナに目で訴えました。

「…スグリ?」
「…なあに…」
「安心しろ、さっきのは浮気じゃねえ。」
「…ほんと?」
「ああ。バンシルは女だし、お前の幼馴染だし、乳兄弟だろ?抱き締め合ってようが何してようが浮気じゃ無え…多分。」
「…バンシルは…おさななじみ…」
姫がどうして泣いていたかを結局分かっていないサクナは、ほぼ自分に言い聞かせるためのような台詞で姫に語り掛け、せっかくバンシルが消した火に新たな油を注ぎ足しました。

「…ばんしるぅっ…」
「あ!姫様!そろそろお時間じゃないですか!!」
サクナに任せたのは間違いだった、と思ったバンシルは、スグリ姫の化粧を直しながら、無理矢理話題を捻じ曲げました。
「…時間…?」
「ええ。そろそろ王様とお后様に、朝のご挨拶に行くお時間ですよ。」
「…え?もう?」
こちらの王家のお誕生日では、姫も王子も、朝に軽くご両親に挨拶をして、しばらくしたら朝食も兼ねてお身内で昼餐、夕方には正式なお祝いの晩餐、という風に過ごすことになっておりました。

「さ、お化粧も直せましたよ。お二人ともお祝いを仰りたくてお待ちでしょうから、行ってらっしゃいませ。」
「ええ、そうね!」
素直で単純でちょっとお馬鹿なスグリ姫は、バンシルの言葉に易々と乗りました。

「ちょっと行って来るわね。すぐ済むと思うわ、ご挨拶だけだから…待ってて!」
姫はサクナとバンシルにそう言って、あっという間に部屋から出て行きました。

「あ」
「あー…なんとかなった…」
姫の気分がころっと変わったので、サクナは呆気に取られ、バンシルはやれやれと溜息を吐きました。

「スグリは、なんで泣いてたんだ?誕生日なのに」
「お誕生日をきっかけにここから離れる実感が湧いて来て、少し淋しくなったんでしょう…けど、」

遠方に住むサクナとの結婚を決めた以上、この地を離れる事は決まっていて、どうする事も出来ません。
それは、スグリ姫には勿論のこと、サクナもバンシルも周りの人々も、みんな分かっている事でした。
ではありますが、スグリ姫には、自分の頭で分かっていても気持ちが揺れる…という事が、時々有りました。
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