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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第4章 スグリ姫の「お誕生日」

そのことについてサクナに説明するかどうか、バンシルは少し考えました。
姫の事情は姫の私的なことなので、他人の口から言うのはどうかと思ったのです。
けれど、姫が自分でそれを説明できるかどうかは甚だ怪しいものでしたし、姫抜きでサクナと話せる機会もそうそう有るとは思えなかったので、バンシルはこの際サクナに伝えておこうと決めました。

「…淋しくなったんでしょうけど、多分、それだけじゃないんですよ。」
「え?」

「この際、あんたも知っといた方が良いでしょうから、今後の為に言っときます。」
「何だ?」
「姫様、もうすぐ月のものが来んですよ。」
「え」
サクナは一瞬虚を突かれ、それから、かあっと真っ赤になりました。

「いくら何でも知ってますよね、女は毎月」
「知ってる!知ってるからそれ以上言うな!」
自分が平然と話しているのにサクナが首まで赤くして顔を覆っているのを見て、バンシルは全く男って奴は、と思いました。

「…じゃあ、注意事項だけ。」
「ああ…」
サクナがちゃんと聞いているかどうかを確かめてから、バンシルは事務的に言いました。

「姫様はそれほど調子を崩す方じゃありませんし、来る時期も一定してますが、時によってはお腹や腰が痛くなったり、気持ちが悪くなったりする事があります。近くになると今回みたいに涙もろくなったり、やけに怒ったり頭が痛くなったり理由も無く眠くなったりする事もあるんで、気を付けて上手く甘やかして差し上げて下さい。 」
「…分かった…気を付ける…」

「まあ、甘やかすのはいつもやり過ぎるくらいやってるみたいですから、お手の物でしょうけど。それと、言うまでも無い事ですが、最中にヤるのは厳禁です。」
「…分かった…やり過ぎるくらいやる…絶対ヤらねぇ…」

サクナは相変わらず首まで真っ赤で目も合わせないままでしたが、なんとか返事は返してきたので、バンシルはまたも下世話なことを吐かされた事を、まあ良いだろう、と許すことにしました。

そしてもうひとつ、姫が自分では絶対言わないだろうという事を、姫に振り回される会の同志への餞として、教える事に致しました。
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