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くすくす姫の誕生日(くすくす姫後日談・その4)
第1章 熱の明くる日
「悩んだけど…悩んだのは、サクナのせいじゃないわよ?」
姫は言葉を選んで考えながら、ゆっくりサクナに話しました。

「私が、自分に悩んだの。そんな大変なお仕事してるお家のご当主に嫁ぐのが、私でいいのかなー、って」
二人で居る時のサクナだけを見ていると、とても「大変なお仕事してるお家のご当主」だとは思えません。そんな振る舞いの数々と、大臣に言われた内容の差の大きさが、姫を一層迷わせたのかもしれません。

「私、何も出来ないのに、私で良いのかなって」
「スグリ、」
サクナが口を開いたので、姫は頬に触れていた指をサクナの唇に当てて、何か言おうとするのを止めました。

「でも、もしここにサクナが居たら、そんな風に思わなかったんじゃないかって、思ったの」
スグリ姫はもう片方の手で、サクナの頬に触れました。
「一緒に居たら、それで良いのかなって。そうすれば、何かあっても、全部なんとかできるのかもって」
両手で頬を包むようにして、じっと目を合わせました。

「 どんなサクナでも、どんな私でも、一緒に居たいの。 …そういうの、だめ?」
「…ダメな訳、無ぇだろ…」
不機嫌そうで悲しげで寂しげだった恋人が、照れ隠しなのか物凄く不機嫌そうに眉を寄せて耳を赤くしているのを見て、スグリ姫は、心からほっとしました。

「…よかったぁ……大好き。」
姫はにっこり笑って恋人に口づけしましたが、すぐに口づけを仕返されました。
そうして、先程扉を叩かれて中断することになった前よりも、もっとあちこち触れられて、何処も彼処もとろとろになりました。
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