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流されカノジョ
第2章 隣の一軒家に住む受験生
「流石に夜遅いから今日は家に帰るべきだよ」
彩のマンションを前にした真央は部屋まで上がると言い出し、隣の自分の家へ帰ろうとしなかった。
受験生で未成年をこんな時間に部屋へ呼ぶのは石山の時と状況が違うと考えてる彩は流されず己の中の倫理観を優先した。
尤も彼女が流されやすいとわかってる真央はあと何押しかすれば部屋に上がれると思っているわけだが。
「だって彩さんが良い匂いさせて、酔っ払いみたいに赤い顔をしてるからダメじゃないですか。
そんなの見せられて明日の模試の勉強なんて出来るわけないです」
眉を八の字にして、口を尖らせた姿に彩はため息をついた。
「じゃあ結果が良かったら真央くんにご褒美あげるから、ね?そうしよう?」
「いいですよ、約束です、何でも言う事聞いてくださいね」と口早に告げた真央は彩の返事も待たず「じゃあおやすみなさい」と手を振って颯爽と自分の家へ帰っていった。
「…んん?」
一瞬の出来事に思考が追いつかないが、今日のところは諦めたことだけ理解してそのまま自分の部屋へと帰ることにした。
次の日の朝、駅まで向かうバスを待っていたら隣に真央が現れた。
「彩さん、おはようございます。
約束守ってくださいね、今日明日は 禁欲 しててください」
大事な4文字だけ耳元で囁き、にっこり笑う姿に思わず苦笑してしまう彩を了承と捉えた真央は機嫌よく単語帳をめくりはじめた。
模試は今日行い、明日には結果がすぐ出るため真央は目の前に人参をぶら下げた馬の状態だった。