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3年目のプロポーズ
第1章 3年目のプロポーズ
それから、二人で並んでソファーに座り、時間が過ぎるのをただ待った。
今日は二人の最後の時間だから、まだ家にいてほしいと頼み込む優馬に、美樹は了承するしかなかった。“プレゼント”は、最後に渡すから、と告げられた。
「……優馬が怒るの……私、初めて見たな……」
そう、ぽつりと呟くと、優馬は、なんとも言えぬ表情をした。
「だって……美樹と一緒にいられない人生なんて、僕は考えられないから」
「そうだよね、妹さんの代わりは────私しかいないもんね」
「……っ」
美樹の意図的な意地の悪い発言に、優馬は押し黙った。
わたし、最悪だ────。わざと彼を傷つけることを言って。
分かっている。全部自分のせいだ。
自分に自信がないから。胸を張って彼の隣にいられないから。彼の妹を“だし”にして、劣等感まみれの世界から遠ざかろうとしている。
もっと自分に自信があれば────堂々と彼の隣で笑っていられたのに。
「……っ、うう」
「っ、ちょっ……優馬!?」
美樹は自分の目を疑った。
あろうことか、優馬の目から涙がぽろぽろと溢れている。
「っ……っふ、グスッ」
呆然とする美樹の横で、優馬はまるで振られた女の子のようにしくしく泣いている。
「ごめんっ、美樹……!」
「……妹のこと、隠してて────でも、」
優馬は、泣きながら美樹の肩にしがみついてこう言った。
「っ、やっぱり……っ、僕は君と別れたくない!」