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3年目のプロポーズ
第1章 3年目のプロポーズ
「……あれ?」
それは、優馬がトイレでリビングから離れた時だった。
料理を食べ終え、テレビを見るのも飽きてしまい、何となくリビングうろついていると、壁際のミニテーブルに伏せられた写真立てが目についた。
何故伏せられているのだろう────気になってしまい、美樹は写真立てをひっくり返した。
「え?」
写真に写る一人の女性────
美樹は一瞬、自分が撮られた写真なのかと思った。
しかしよく見ると違った。その女性は、美樹と瓜ふたつのよく似た女性だった。
「あぁ、見られちゃった」
いつの間に美樹の背後に立っていた優馬は、写真立てをそっと彼女の手から引き離した。
「あ……ごめん。なんか気になっちゃって……」
「ふふ、いいよ。別に……」
優馬はその写真を、寂しげに目を細めて眺めている。
「誰なの……? その子」
「ん? この子はね、僕の妹」
「妹……?」
目を丸くする美樹に、優馬は小さく、頷いた。
「妹がいるなんて────私、聞いたことないよ?」