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SOS
第2章 虚空と現実
「……ふぁ」
翌朝目が覚めた木崎は、布団から起き上がると、ぼんやりと部屋の中を見渡した。
悪魔は既に、どこかに姿を消してしまったようだ。
“お前の望みを叶えてやる”
“願いを叶えてもらった人間は、必ず地獄に墜ちる”
こうして思い返すと、昨夜のあれはやはり幻だったのでは────? そんな現実的な思考に囚われてしまう。
ピルルルル
「っ、!?」
携帯電話の着信音に、木崎はびくっと肩を揺らした。電話など滅多にかかってこない。
床にほっぽっている携帯電話を手に取り、木崎は電話に出た。
「もしもし……木崎ですが」
「木崎さん、初めまして私、〇〇写真コンクール評価委員会の原野と申します」
────〇〇写真コンクール
木崎が三ヶ月前に応募したコンクールだ。
「木崎さんの作品が見事大賞に選ばれましたので、ご連絡させて頂きました」
「……へ? お、俺の作品が……ですか?」
木崎の全身から汗がどっと吹き出した。緊張と焦りでしどろもどろになる。
「はい。審査員満場一致で、木崎さんの作品が選ばれました。つきましては来週行われる表彰式に────」