この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
SOS
第3章 無限と有限
「……なぁ、悪魔」
木崎にはひとつ、気になることがあった。
「何だ……」
「お前は、確定的な未来も叶えられるのか?」
木崎は立ち止まり、空に浮く悪魔を見上げた。悪魔の鮮やかな血の赤の瞳だけが、夜の闇の中でもくっきりと浮かんで見える。
「例えば、そうだな……
“来月のバレンタインデーに、200個のチョコをもらう”という現実を叶えてほしい、とか」
「……叶えることは可能だ。ただし、100%実現するとは約束できない」
自然災害や交通事故といった、偶然的な事象が発生した場合、実現不可能になってしまうこともあるらしい。だが、それは本当にごく稀なケースであって、ほとんどは現実化するという。
悪魔はそう説明した。
「そうか……それなら、」
木崎が小さく頷く。そして彼の思考を読み取った悪魔が、先にその単語を口にした。
「……寿命か」
「あぁ、死ぬ年齢を決めておくのも悪くないかと思って」