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SOS
第4章 永遠と一瞬
“地獄”────それはなにも、死後の世界を示すものではない。少なくとも、悪魔にとっては。
悪魔には、木崎の心が透けて見えていた。
彼が常に何を思い、どう感じているのか────
木崎と契約を結んで以来、悪魔はこと細かに彼の心を観察していた。
そして、37個目の願いを彼の口から聞いたとき、決めたのだ。
────人間、木崎慎太郎に与える地獄を。
それまで悪魔は写真に命を懸ける彼に、目が不自由になる、という地獄を与えようかと考えていた。
しかし、木崎が認知症の話を切り出したときに、ピンときたのだ。
自分以外の人間に排泄処理をされる屈辱────
そんな残酷な現実に直面しても、自殺できない苦悩────
自分がいつ死ねるのか分からない、漠然とした不安────