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告白の向こう側
第1章 告白の向こう側
「あぁ、それはな」
社長は鞄に荷物を詰め込む手を止めて、こう言いました。
「お前に感謝してるからだ。いつもヘッポコな俺に付き合わせて、お前には苦労させてるからな。一年に一度ぐらい、お前を労ってやりたい」
「……っ」
まさかこんなことを言われるとは思わなかった────今私……泣きそうなぐらい、嬉しいです。
「あれ、お前泣いてんのか?」
「っ、な、泣いてません……っ」
社長はにやにやしながら、こちらに近づいて来ます。
うわわわわ、どうしましょう。
「……ならいいけど。っていうか、お前ほんと背高いな」
「し、社長が小さいんです」
「あ、それ禁句のやつだぞ」
けらけらと楽しそうに笑う社長は、実は165cmしかありません。対して私は170cm。
高身長は世間一般ではよしとされていることですが……
私はどうせなら……下から社長を見上げたかったです。
「よし、じゃあ準備もできたし、行くか」
「はい」
二人で部屋を出ようとしたその時でした。
プルルルル────
デスクに置かれた固定電話が鳴り出して────
ドアに手をかけていた社長が踵を返し、さっと受話器を取り上げました。