この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「ネガティブ」のバイブル
第2章 愛欲の女神
「ああ…どっちが先でもいいけど…」
成瀬はそう言い、壁にもたれ掛かって立つ天原をチラリと見る。…っていうかまだいらっしゃったんですか…。
天原は、ふっと息をついて、壁から背を離した。
「気分はどうだ?」
天原が言う。
「お、俺…?」
急に気分を聞かれて、おどおどとする。天原は、なんのリアクションもせず、ただじっと俺の答えを待っている。
「イチャコラしてるのを見せられて…死にたい気分です………?」
俺がそう言うと、天原は短く笑う。
「そうじゃない。心に光を抱くことのない自分――マイナス思考の自分に、気がつかないか?」
「俺…なにされた…?どうなったんだ…?」
「言葉通りだ。今のおまえの思惟は、悲観的なものになっている。わかりやすく言えば、ネガティブだ」
「ネガティブになった…?」
「そうだ」
「言われてみれば…」
確かに、なんか…。さっきから気分が暗いような…。なにをするにもやる気起きないし。死にたいし。
あああ…、と俺は頭を抱える。
「まあそう悲観するな」
そう言う天原に、誰がこうしたんだよ…と密かに思う。元はと言えば俺が怒らせたのが原因だから、口には出さないけど。
成瀬はそう言い、壁にもたれ掛かって立つ天原をチラリと見る。…っていうかまだいらっしゃったんですか…。
天原は、ふっと息をついて、壁から背を離した。
「気分はどうだ?」
天原が言う。
「お、俺…?」
急に気分を聞かれて、おどおどとする。天原は、なんのリアクションもせず、ただじっと俺の答えを待っている。
「イチャコラしてるのを見せられて…死にたい気分です………?」
俺がそう言うと、天原は短く笑う。
「そうじゃない。心に光を抱くことのない自分――マイナス思考の自分に、気がつかないか?」
「俺…なにされた…?どうなったんだ…?」
「言葉通りだ。今のおまえの思惟は、悲観的なものになっている。わかりやすく言えば、ネガティブだ」
「ネガティブになった…?」
「そうだ」
「言われてみれば…」
確かに、なんか…。さっきから気分が暗いような…。なにをするにもやる気起きないし。死にたいし。
あああ…、と俺は頭を抱える。
「まあそう悲観するな」
そう言う天原に、誰がこうしたんだよ…と密かに思う。元はと言えば俺が怒らせたのが原因だから、口には出さないけど。