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「ネガティブ」のバイブル
第3章 Gメン…いや、G以下メン
「おい、空也」
教室に入り、自分の席に向かおうとしていた俺を、正之が呼び止めた。
「…お前、天原にちゃんと謝ったか?」
「……え?」
「名前バカにしただろ。“それをやっちゃうと人間としてかなりまずい行為”にカテゴライズされるヤツだと思うぜ、そういうのは。早いとこ謝っとけ」
正之は周りを気にしながら、そう俺に耳打ちした。
ああ、そうだな…、と天原の席を見る。天原は何をするでもなく、静かに座って前を見ていた。相変わらず眼鏡はしていないが、目元を隠すように前髪を下ろしているため見た目はほとんど変わっていない。
「天原」
声をかけると、天原は目だけをこちらに向けた。
「あの…」
言い出しづらくて口ごもる。天原は、なんだ、とでも言いたげに髪の間からこちらを見ている。
「名前…色々悪く言ってごめん…」
ごにょごにょ言うと、天原は目線を前に戻した。それ以外は無反応。なにも言わない。
「その…俺、さ。昔から名前のことでからかわれたり、名前にコンプレックスあって…」
そう話す間も、天原は依然こちらを見ない。
このことは、なんとなく人に話してない。…多分、気にしてるってこと、知られたくないんだろうな。
教室に入り、自分の席に向かおうとしていた俺を、正之が呼び止めた。
「…お前、天原にちゃんと謝ったか?」
「……え?」
「名前バカにしただろ。“それをやっちゃうと人間としてかなりまずい行為”にカテゴライズされるヤツだと思うぜ、そういうのは。早いとこ謝っとけ」
正之は周りを気にしながら、そう俺に耳打ちした。
ああ、そうだな…、と天原の席を見る。天原は何をするでもなく、静かに座って前を見ていた。相変わらず眼鏡はしていないが、目元を隠すように前髪を下ろしているため見た目はほとんど変わっていない。
「天原」
声をかけると、天原は目だけをこちらに向けた。
「あの…」
言い出しづらくて口ごもる。天原は、なんだ、とでも言いたげに髪の間からこちらを見ている。
「名前…色々悪く言ってごめん…」
ごにょごにょ言うと、天原は目線を前に戻した。それ以外は無反応。なにも言わない。
「その…俺、さ。昔から名前のことでからかわれたり、名前にコンプレックスあって…」
そう話す間も、天原は依然こちらを見ない。
このことは、なんとなく人に話してない。…多分、気にしてるってこと、知られたくないんだろうな。