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「ネガティブ」のバイブル
第4章 不幸の眼鏡
振り向こうとした時、後ろからぬっと手が伸びてきた。誰かの両腕が、俺の腰を抱き締めている。

「っ!?」

誰かの熱を、すぐ後ろに感じた。

「それより…」
耳もとでささやかれ、耳に温かい息がかかる。

「…アタシと、イイコトしない?」

腰にあった誰かの右手がじりじりと下に降りていき、俺の股関に触れた。

「うっ…」

その手は、制服の上からやわやわと俺のものを刺激する。

「あ…っん…ああ…」

そして、指がジッパーをなぞる。ジジ、と開き掛けたところで、また別の声が飛んできた。

「そこまででやめておけ」
聞き覚えのある声。動きはピタリと止まり、背中の体温はふっと消えた。

階段の方へ振り向くと…天原が立っていた。俺のすぐ後ろだったところには、見知らぬ女子生徒。

「見つかっちゃったか」

見知らぬ…いや、見たことはある。昨日美術準備室の中で…過激な行為をしていたあの生徒だ。

「やるなら中でやれ」
天原は美術準備室を示す。

「ちょっとつまみ食いしただけ。中じゃ無理だもん。彼がもう来てるだろうから」
女子が口先を尖らせると、ほどほどにしておけよ、と天原はため息をついた。
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