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「ネガティブ」のバイブル
第1章 エビマヨパン
あ、言い忘れてたけど俺の名前は市野 空也――イチノ クウヤ。地元の公立高校に通う男子高校生。この名前のせいで、よくからかわれる。“名前”に人一倍敏感なのもこのためだ。
…朝のことは多分、コンプレックスの裏返しだ。自分でもわかってる。
教室に入ると、中でしゃべっていた男子二人が俺に気づく。二人はイケメン…クラスの中ではそこそこ顔が良い方でトークもまあまあおもしろく、女子の中でもぼちぼち支持を得ている。
「よお、空也!今日は念仏唱えねーの?」
「口から阿弥陀仏出せよ~!」
二人が言うと、クラス中が――というかほぼ女子が――俺に注目した。
…まーたこいつらは意味不明なことを要求してくる。
前に、あまりに市聖市聖ってうるさいから、ふざけて念仏唱えてやったら、意外と大ウケでさ。それ以来、俺が教室に入るなりこういうことを言ってくるようになったんだけど…いい加減しつけー!
めんどくせーと思いつつ、一度やっちまったし中々やめられずに付き合ってやってる。…まあ、人気者の宿命よ。
クラスメイトたちが、期待に満ちた目を俺に向けている。
「南無阿弥陀仏~」
目を閉じて言うと、二人はケラケラ笑った。周りもくすくす笑う。
「よし、これで極楽浄土行けるな」
「口から阿弥陀仏は~?」
一体どこまでやれば、こいつらは満足するのか。だいたい空也ネタ引っ張りすぎだろ…。そろそろ飽きろよ。
「また今度なー」
適当にごまかし、自分の机に鞄を置くと、友人たちの席にしゃべりに行く。
…朝のことは多分、コンプレックスの裏返しだ。自分でもわかってる。
教室に入ると、中でしゃべっていた男子二人が俺に気づく。二人はイケメン…クラスの中ではそこそこ顔が良い方でトークもまあまあおもしろく、女子の中でもぼちぼち支持を得ている。
「よお、空也!今日は念仏唱えねーの?」
「口から阿弥陀仏出せよ~!」
二人が言うと、クラス中が――というかほぼ女子が――俺に注目した。
…まーたこいつらは意味不明なことを要求してくる。
前に、あまりに市聖市聖ってうるさいから、ふざけて念仏唱えてやったら、意外と大ウケでさ。それ以来、俺が教室に入るなりこういうことを言ってくるようになったんだけど…いい加減しつけー!
めんどくせーと思いつつ、一度やっちまったし中々やめられずに付き合ってやってる。…まあ、人気者の宿命よ。
クラスメイトたちが、期待に満ちた目を俺に向けている。
「南無阿弥陀仏~」
目を閉じて言うと、二人はケラケラ笑った。周りもくすくす笑う。
「よし、これで極楽浄土行けるな」
「口から阿弥陀仏は~?」
一体どこまでやれば、こいつらは満足するのか。だいたい空也ネタ引っ張りすぎだろ…。そろそろ飽きろよ。
「また今度なー」
適当にごまかし、自分の机に鞄を置くと、友人たちの席にしゃべりに行く。