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「ネガティブ」のバイブル
第5章 天使が舞い降りました
「ごめんね、男子の実行委員が俺で…」
俺は笑みを作る。黒川さんには無理矢理作った笑顔に見えているということに、気づかずに。
「そんな!」
「俺じゃなく別の人の方がよかったよね…もっと絵がうまい人とかさ」
「そんなことない!私は市野くんと一緒にやれてすごく嬉しいよ」
黒川さんは、ぶんぶんと大きくかぶりを振る。
「――だって、市野くんは…」
うつむき、必死に励ましの言葉を紡ごうとするが、やがて黒川さんは押し黙ってしまう。
…優しい嘘、か。
「ありがとう、黒川さんは優しいね。気を遣わせちゃってごめん。…ちょっとトイレ行ってくるね。ついでになんか良い案がないか考えてくる」
落ち込みまくった俺が、強引に笑い、行こうと立ち上がった時。
「待っ…――」
ガバリと顔を上げた黒川さんは同時に、膝立ちの俺の肩をつかもうと右手を伸ばした。
だが俺は立ち上がり、扉へ方向転換しかけていたため、肩をつかむはずだった黒川さんの右手は、俺の股間を思い切りつかんでいた。
「うあッ!?」
「キャアアアアッッ!!!」
黒川さんは真っ赤になって叫び、慌てて手を離した。
俺は笑みを作る。黒川さんには無理矢理作った笑顔に見えているということに、気づかずに。
「そんな!」
「俺じゃなく別の人の方がよかったよね…もっと絵がうまい人とかさ」
「そんなことない!私は市野くんと一緒にやれてすごく嬉しいよ」
黒川さんは、ぶんぶんと大きくかぶりを振る。
「――だって、市野くんは…」
うつむき、必死に励ましの言葉を紡ごうとするが、やがて黒川さんは押し黙ってしまう。
…優しい嘘、か。
「ありがとう、黒川さんは優しいね。気を遣わせちゃってごめん。…ちょっとトイレ行ってくるね。ついでになんか良い案がないか考えてくる」
落ち込みまくった俺が、強引に笑い、行こうと立ち上がった時。
「待っ…――」
ガバリと顔を上げた黒川さんは同時に、膝立ちの俺の肩をつかもうと右手を伸ばした。
だが俺は立ち上がり、扉へ方向転換しかけていたため、肩をつかむはずだった黒川さんの右手は、俺の股間を思い切りつかんでいた。
「うあッ!?」
「キャアアアアッッ!!!」
黒川さんは真っ赤になって叫び、慌てて手を離した。