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「ネガティブ」のバイブル
第1章 エビマヨパン
俺は瞬時に高く飛び上がる。必死に伸ばした右手が、ボールをとらえた――弾かれたボールが、左方向に飛んでいく――そして。
そのボールの先には、天原がいた。
鈍い音を放ち、頭に直撃したボールがあらぬ方向へ跳ね返っていった。その拍子に天原は後ろに倒れ込み、眼鏡も吹き飛んでいた。
「天原っ!?」
俺が叫ぶのとほぼ同時に、中断の笛が鳴る。大丈夫か、と皆が駆け寄った。
倒れたまま静止していた天原がむくりと起き上がり、ほっと胸を撫で下ろす。
「ごめん…!大丈夫か…?」
静かに眼鏡を拾う天原に、声をかける。前髪が目にかかるほど長く、横髪もあって、いつも表情がわからない。
天原は無言で眼鏡をかけ直し、目を合わせることもなく元の位置へ歩いていく。眼鏡も無事だったらしい。
よかった…。
とりあえず安心して、自分も戻ろうとした時。
「1……」
すれ違い様、確かに、あいつはそう言った。
なんだ…?
っていうか、しゃべるんだ、あいつ。今朝なにか聞いたのも幻聴じゃないかと考え始めていた俺は、そんなことを思いながらあいつの背中を振り返った。
そのボールの先には、天原がいた。
鈍い音を放ち、頭に直撃したボールがあらぬ方向へ跳ね返っていった。その拍子に天原は後ろに倒れ込み、眼鏡も吹き飛んでいた。
「天原っ!?」
俺が叫ぶのとほぼ同時に、中断の笛が鳴る。大丈夫か、と皆が駆け寄った。
倒れたまま静止していた天原がむくりと起き上がり、ほっと胸を撫で下ろす。
「ごめん…!大丈夫か…?」
静かに眼鏡を拾う天原に、声をかける。前髪が目にかかるほど長く、横髪もあって、いつも表情がわからない。
天原は無言で眼鏡をかけ直し、目を合わせることもなく元の位置へ歩いていく。眼鏡も無事だったらしい。
よかった…。
とりあえず安心して、自分も戻ろうとした時。
「1……」
すれ違い様、確かに、あいつはそう言った。
なんだ…?
っていうか、しゃべるんだ、あいつ。今朝なにか聞いたのも幻聴じゃないかと考え始めていた俺は、そんなことを思いながらあいつの背中を振り返った。