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「ネガティブ」のバイブル
第1章 エビマヨパン
昼食の時間を告げる鐘は、戦争開始を告げる鐘でもある。
「ランチタイムだああっ!!」
俺は教室全体に響き渡るほど声を張り、闘いの始まりを宣言した。
パン争奪戦。目指すは、校内一階の購買部。銃器を持ったクラスメイトたちが、次々に教室を飛び出していき、同じように目の前を走る他クラスの生徒たちを銃撃しながら、我先にと目的地へ向かう――
――なんてことはまったくないが、急ぐあまり、無意識に小走りしていることはある。だが大抵は皆、表には出さず水面下で狙っている。言うならば、冷戦。まあ売り切れていたらいたで諦めのつく程度のものだ。
俺が戦場につくと、行列はピーク時より沈静化していた。残ってるパンの数をちらっと見たが、これならギリギリ買えそうだ。そうして計算しつつ並んだあと、割かし早く人だかりを抜け出せた。
戦果は、エビマヨパン一つ。鉄板の――別にかけてない――焼きそばパン、唐揚げパンほどではないが、惣菜パンの中ではぼちぼち人気。一部のコアな人たちの支持を集めている程度なので、争奪戦に少し出遅れても手に入りやすい。
エビマヨパンを手に、俺は教室へ戻ろうとする。階段を上ろうとしたその時、背後に人影を感じた。
振り向くと――天原だった。
「ランチタイムだああっ!!」
俺は教室全体に響き渡るほど声を張り、闘いの始まりを宣言した。
パン争奪戦。目指すは、校内一階の購買部。銃器を持ったクラスメイトたちが、次々に教室を飛び出していき、同じように目の前を走る他クラスの生徒たちを銃撃しながら、我先にと目的地へ向かう――
――なんてことはまったくないが、急ぐあまり、無意識に小走りしていることはある。だが大抵は皆、表には出さず水面下で狙っている。言うならば、冷戦。まあ売り切れていたらいたで諦めのつく程度のものだ。
俺が戦場につくと、行列はピーク時より沈静化していた。残ってるパンの数をちらっと見たが、これならギリギリ買えそうだ。そうして計算しつつ並んだあと、割かし早く人だかりを抜け出せた。
戦果は、エビマヨパン一つ。鉄板の――別にかけてない――焼きそばパン、唐揚げパンほどではないが、惣菜パンの中ではぼちぼち人気。一部のコアな人たちの支持を集めている程度なので、争奪戦に少し出遅れても手に入りやすい。
エビマヨパンを手に、俺は教室へ戻ろうとする。階段を上ろうとしたその時、背後に人影を感じた。
振り向くと――天原だった。