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降っても照っても曇っても(くすくす姫後日談・その4.5)
第1章 妻の役目と、月のもの
「そりゃあ、お前を抱くのは好きだ。大好きだ。毎日ヤッても飽きねぇくらい好きだ。挟んでくれりゃあ無論嬉しい。だが、それは今じゃ無え」
サクナは一旦言葉を切って、姫の目を見ました。

「あのな。お前とヤるのが好きだってのの半分は、お前を気持ち良くするのが好きだってことだぞ?」
「…私を?」
「ああ。お前が気持ち良さそうなのを見るのも、普段出さねぇ様な声を聞くのも、半泣きになってしがみついて来るのも、イッた後ふにゃふにゃになっちまうのも、どれもこれも全部好きだし、堪らねぇ」
「…う…」
サクナがあまりにも好き好き言うので、姫はむずむずしてきました。

「なのに、お前が辛いとか痛いとかいう時に、俺の為に無理に何かさせて、面白ぇ訳無ぇだろ?俺が気持ち良い大前提は、お前が気持ち良いって事だぞ」
但し口で嫌嫌言ってても本音は違う時は別だ、とサクナは付け加えましたが、姫はむずむずを通り越して泣きそうになっていたので、その部分は耳に入って来ませんでした。

「とにかく、無理すんな。今までお前が今みてぇに辛かった時、傍に居たことが無ぇからな。何か楽になる事が有るならしてやりてぇが、」
そう言ってサクナは、座るぞ、と姫の隣に座り、そっと髪を撫でました。
「…それは、俺の勝手な望みだ。お前が一人で居たいとか、触られんのは嫌だってんなら、遠慮なく断れ」

「…うー…」
「どうした!?泣くほど辛いのか?!」
サクナは姫が泣き出したので、ぎょっとしました。
「…ううん…」
姫はサクナに体を寄せて、シャツを握って、そこに顔を伏せました。
今の言葉や出会う前のこと、出会ったあとや離れていた間のことなどが、頭の中でぐるぐる回って、悲しいわけではないのに涙が出たのです。

「抱き締めても、嫌じゃねぇな?」
聞かれた姫はシャツに顔を埋めたまま、こくりと頷きました。
姫は緩めに抱き締められて、暖かさと安心する匂いに包まれました。少し泣いたこともあり、髪を撫でられているうちに、うとうと眠気が湧いてきます。
「眠いのか?横になるか、」
「ん…」
よし、と言うと、サクナは姫をそっと長椅子に横たえて、ブランケットを掛けました。

「しばらく寝てろ。起きる頃また来る」
「うん…ありがと」
だいすきよ、と姫がうつらうつらしながら呟くと、髪を柔らかく撫でられました。
そうして姫はいつの間にか、眠ってしまっておりました。
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