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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
「ところで、こちらの御方はどなた様ですか?」
「あ。」
姫はバンシルの問いかけを聞いて、微かにびくっとしました。そして、ほんの少し躊躇してから、言いました。
「こちら、ここでお仕事されてる、ローゼル様よ。何がどこにあるのか、 お屋敷以外の建物を案内してくださったの」
そこまでバンシルに向かって話すと、スグリ姫はローゼルの方に向き直りました。
「…ローゼル様、私の侍女のバンシルです。しばらく一緒に滞在しますので、お見知り置き頂けると嬉しいですわ」
バンシルはスグリ姫が、ローゼルの方をまっすぐ見ずに強張った顔で話すのを見て、おや、と思いました。
「初めまして、ローゼル様。バンシルと申します」
「初めまして、ローゼルです。…スグリ様?」
「…はい。」
「侍女の方もいらしたし、私はここで失礼致しますわね」
「ええ。お仕事中に、ありがとうございました」
お辞儀をする姫に軽くお辞儀を返すと、ローゼルは先程姫に説明した建物のうちのひとつに、あっと言う間に消えて行きました。
「すっごい圧の美人ですねえ」
「…うん…」
「姫様?どうかされました?」
「ううん、なんでもないわ。着いた早々親切にしていただいて、ありがたいわね」
お茶頂きに行きましょ、と言う姫の笑顔が相変わらず少々ぎこちないことにバンシルは気が付きましたが、今理由を聞くのはやめておこう、と思いました。
(あの高飛車美人が原因だとしたら、果物馬鹿になんとかして貰うのが一番だわね。姫様を置き去りにして、あんな高圧的な女に姫様を案内させるだなんて…事と次第によっちゃあ、とっちめてやる)
姫と連れ立って屋敷の方に歩いて行きながら、バンシルは心の中で物騒なことを思ったのでした。
「あ。」
姫はバンシルの問いかけを聞いて、微かにびくっとしました。そして、ほんの少し躊躇してから、言いました。
「こちら、ここでお仕事されてる、ローゼル様よ。何がどこにあるのか、 お屋敷以外の建物を案内してくださったの」
そこまでバンシルに向かって話すと、スグリ姫はローゼルの方に向き直りました。
「…ローゼル様、私の侍女のバンシルです。しばらく一緒に滞在しますので、お見知り置き頂けると嬉しいですわ」
バンシルはスグリ姫が、ローゼルの方をまっすぐ見ずに強張った顔で話すのを見て、おや、と思いました。
「初めまして、ローゼル様。バンシルと申します」
「初めまして、ローゼルです。…スグリ様?」
「…はい。」
「侍女の方もいらしたし、私はここで失礼致しますわね」
「ええ。お仕事中に、ありがとうございました」
お辞儀をする姫に軽くお辞儀を返すと、ローゼルは先程姫に説明した建物のうちのひとつに、あっと言う間に消えて行きました。
「すっごい圧の美人ですねえ」
「…うん…」
「姫様?どうかされました?」
「ううん、なんでもないわ。着いた早々親切にしていただいて、ありがたいわね」
お茶頂きに行きましょ、と言う姫の笑顔が相変わらず少々ぎこちないことにバンシルは気が付きましたが、今理由を聞くのはやめておこう、と思いました。
(あの高飛車美人が原因だとしたら、果物馬鹿になんとかして貰うのが一番だわね。姫様を置き去りにして、あんな高圧的な女に姫様を案内させるだなんて…事と次第によっちゃあ、とっちめてやる)
姫と連れ立って屋敷の方に歩いて行きながら、バンシルは心の中で物騒なことを思ったのでした。