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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第10章 面接と候補者
「あーそうか、そうだったな。お前の好きな『初めて』だよな?」
「ちょっとっ?!それは、ちょっと…!」
サクナにまたからかわれた姫は、さっと頬を染めました。
姫がサクナに何度か「初めてで嬉しい」と言った事があるのは事実でしたが、先程姫が言った様な事とは、意味も状況も全く違います。
「あー、悪ぃ悪ぃ。そう膨れるな」
「ちょ…!んむぅー!!」
恥ずかしくて膨れた姫の頬っぺたを、サクナは楽しそうに両手でむにゅっと挟みました。
「御当主様?」
「何だ?」
サクナが今朝はあまり堪能できなかった姫の頬っぺたの感触をむにむにと愛でていると、面接の準備をしていたバンシルに声をかけられました。
「姫様で遊ぶのは、いい加減にして下さい。今日はこの後別のご予定がお有りなんですよね?」
「…あー」
「むー!!」
バンシルは、明後日の方に目を逸らしたサクナは放っておいて、唸っている姫に言いました。
「姫様も、いつまで遊ばれてんですか。下らないおふざけに付き合うのは程々にして下さい。そろそろご亭主の横暴に逆らうことを憶えても、罰は当たらない時期ですよ」
「…もへいひゅっ!?」
聞き慣れない「ご亭主」という単語を聞いたスグリ姫は、弄ばれている頬っぺたを更に真っ赤に染めました。
「おい、バンシル」
「何ですか?」
サクナは姫の頬っぺたで遊ぶのは止めずに、バンシルに言いました。
「お前の俺への扱いは、酷くないか…?随分だと思う瞬間が、時々あるぞ」
「ご当主様?」
「何だよ」
サクナにぼやかれたバンシルは、最初から散々なことヤッといて今更何言ってんだかと内心苦々しく思いましたが、そんな様子は露ほども見せずに、平然と答えました。
「私は、対応しております相手の御方のお振る舞いに相応した態度を取るように、常々心掛けております。こちらのお家のご当主様にはご当主様に相応しく、長年御仕えしている姫様の旦那様には旦那様に相応しく」
バンシルは二人を交互に睨め付けると、扉の方へさっさと歩いて行きました。
「…そして、如何ともし難い姫馬鹿野郎には、姫馬鹿男に相応しくということで御座いますね」
「え?」
「えっ?」
「…私はお茶の用意をして参りますので、ほんの少々席を外させて頂きます」
この家の主を淡々と罵倒しながら戸口でくるりと向き直り、扉に背を向けた格好でお辞儀をしたバンシルに、二人は面食らいました。
「ちょっとっ?!それは、ちょっと…!」
サクナにまたからかわれた姫は、さっと頬を染めました。
姫がサクナに何度か「初めてで嬉しい」と言った事があるのは事実でしたが、先程姫が言った様な事とは、意味も状況も全く違います。
「あー、悪ぃ悪ぃ。そう膨れるな」
「ちょ…!んむぅー!!」
恥ずかしくて膨れた姫の頬っぺたを、サクナは楽しそうに両手でむにゅっと挟みました。
「御当主様?」
「何だ?」
サクナが今朝はあまり堪能できなかった姫の頬っぺたの感触をむにむにと愛でていると、面接の準備をしていたバンシルに声をかけられました。
「姫様で遊ぶのは、いい加減にして下さい。今日はこの後別のご予定がお有りなんですよね?」
「…あー」
「むー!!」
バンシルは、明後日の方に目を逸らしたサクナは放っておいて、唸っている姫に言いました。
「姫様も、いつまで遊ばれてんですか。下らないおふざけに付き合うのは程々にして下さい。そろそろご亭主の横暴に逆らうことを憶えても、罰は当たらない時期ですよ」
「…もへいひゅっ!?」
聞き慣れない「ご亭主」という単語を聞いたスグリ姫は、弄ばれている頬っぺたを更に真っ赤に染めました。
「おい、バンシル」
「何ですか?」
サクナは姫の頬っぺたで遊ぶのは止めずに、バンシルに言いました。
「お前の俺への扱いは、酷くないか…?随分だと思う瞬間が、時々あるぞ」
「ご当主様?」
「何だよ」
サクナにぼやかれたバンシルは、最初から散々なことヤッといて今更何言ってんだかと内心苦々しく思いましたが、そんな様子は露ほども見せずに、平然と答えました。
「私は、対応しております相手の御方のお振る舞いに相応した態度を取るように、常々心掛けております。こちらのお家のご当主様にはご当主様に相応しく、長年御仕えしている姫様の旦那様には旦那様に相応しく」
バンシルは二人を交互に睨め付けると、扉の方へさっさと歩いて行きました。
「…そして、如何ともし難い姫馬鹿野郎には、姫馬鹿男に相応しくということで御座いますね」
「え?」
「えっ?」
「…私はお茶の用意をして参りますので、ほんの少々席を外させて頂きます」
この家の主を淡々と罵倒しながら戸口でくるりと向き直り、扉に背を向けた格好でお辞儀をしたバンシルに、二人は面食らいました。