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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第10章 面接と候補者
「え、今行くの?」
「今か?」
主と婚約者に同時に聞かれたバンシルは、二人に向かって不敬にも露骨過ぎる溜め息を吐きました。

「…ご当主様?」
「あ?」
「仕事に行く時間をぐずぐず伸ばしてまで姫様の頬っぺたに構ってらっしゃるのに、お出掛けまでずーーーーーっと私がここに居ても、宜しいんですか?」
「うっ」
サクナを絶句させたバンシルは、少し視線を下げました。

「姫様?」
「なにっ?」
「今朝髪を結った時に眉間にこーんなに皺が寄ってた事を、面接前にご当主様にお伝えしておかなくても宜しいんですか?」
「う」
姫の眉間にまた皺を寄せさせたバンシルは、自分も眉を顰めて言いました。

「私は、別に、宜しいんですよ?お茶を取りに行くのは、今でなくても、一向に」
「…済まねぇ。引き止めて、悪かった…」
「…ごめんなさい。行ってらっしゃい…」
侍女が気を使ったことに気付かずに皆まで言わせた二人は、もじもじしながら謝りました。

「ご納得頂けて、宜しゅう御座いました。私はお二人共に、万全なお心持ちで良いお仕事をして頂きたいと思っておりますから」
そして有能な侍女は、失礼致しますとお辞儀をして、部屋の扉をくぐりました。

「…せっかくの好意だ。有り難く受け取らねぇとな」
「うんっ…ふふっ」
扉が閉まりかけると、二人は見つめ合って微笑んで、ぎゅうっと抱き締め合いました。

「そうそう、お二人共」
…と、扉がもう一度開きました。

「!!」
「良いですか?ほんの少し席を外させて頂くだけですからね?ほ、ん、の、少、し、ですよ?よーく憶えて置いて下さいませね、特に頭のネジがぶっ飛びがちな御当主様」
バンシルはそう言うと、今度こそきちんと扉を閉めて、部屋を出て行きました。

「う…なんか、恥ずかしい…」
扉が閉まると、耳まで赤くなった姫はサクナの胸にぎゅうっと顔を埋めました。
「今更恥ずかしく無ぇだろ、バンシルだぞ?最初っから今までほとんど全部バレバレだぞ」
「…それは、そうだけど…」
「で、何だ。ここに皺寄せてたのか」
サクナはそう言うと、姫のおでこにちゅっと口づけました。
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