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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第10章 面接と候補者
「ああ本当だ、誰も落ちてねぇぞ。良く頑張ったな、お前のお陰だ」
「良かった…嬉しい…!」
スグリ姫は、心から晴れ晴れと笑いました。
確かにサクナの言う通り大変個性的な三人でしたが、三人ともそれぞれ侍女になってくれたら心強いし楽しいだろうと思えるような候補者でした。
バンシルに言わせると、三人共に仕事は出来そうでも姫に砕けすぎなのが玉に瑕、なのでしたが。

「…ん?」
三人の採用に喜んでいた姫は、ふと思いました。
「それ…私のお陰じゃ、ないんじゃない…?」
姫は、面接「しか」していません。報告は、一切していないのです。
候補者が姫と話した事が合格の決め手だったとしても、バンシルがその様子を見て採用を進言したならば、採用は姫のお陰ではなく、バンシルのお陰です。

「大丈夫だ。お前のお陰じゃなくても、俺のお陰では有る」
「へ?」
「面接したお前のお陰じゃなけりゃ、採用を決定して雇い入れる俺のお陰だ。褒美は俺が貰ゃあ良い」
「ふぇええ?」
スグリ姫は、言われている意味がよく分からなくて、混乱しました。

「えーっと、それ…どんな理屈…?」
「理屈だろうが屁理屈だろうが構わねぇから、とりあえず脱げ。湯が冷める」
「ぬっ?!」
混乱した姫が絶句している間に、サクナはすっかり手慣れた様子で服のボタンをぷちぷち外し始めました。

「対策したからこの前程じゃ無ぇだろうが、早く入るに越した事は無え。せっかく巣から出て来て剥きやすくなったんだ、今すぐさっさと脱いじまえ」
「えええ!?あ、でも、夕ご飯!ご飯がまだ!!」
姫は混乱した頭を絞って必然性の有る理由を考え、抵抗を試みました。

「問題ない、風呂で食え」
残念ながら例によって例の如く、抵抗は全く無駄でした。

「えええっ!?お、お風呂でご飯っ!?」
「別に問題無ぇだろ?嫌なら風呂上りに食え。ああ、むしろその方が良いな。風呂で食う暇なんざ無ぇや、ヤることが色々有るからな」
機嫌良く手際良く剥かれながら、姫は頑張って別の理由を考えました。

「でもっ、筋肉痛は嫌だしっ、困るっ!」
「心配すんな、今日はくすぐったくなんかしねぇよ」
「え、それ、どういう…っ…ふぁん!」
心配するなと言われれば言われるほど心配極まりない予感がすると姫は思いましたが、サクナは姫の剥き具合を手で撫でて確かめながら非常に楽しそうに、大丈夫だ、と言いました。
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