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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第11章 休息と責任
「…って事で、今日俺はこいつを傍に置いといて仕事する。以上だ」
サクナは姫を抱いたまま居間に連れて行き、寝椅子に下ろして朝食の場に赴き、姫の分を用意させて居間に戻って躊躇う姫を言いくるめて食事を摂らせ、顔には出さないものの呆れて見ていた家令と侍女に、こうなった経緯を差し支えの無い範囲で説明致しました。
そして、今日の予定について、姫も含めた三人に宣言したのです。
「…サクナ様?」
スグリ姫がサクナの宣言について何か言いたげなのに、どうにも言葉が出て来ないらしいのを見て、クロウが口を開きました。
「何だよ」
「口実が有るからと言って、堂々とスグリ様を執務室にお連れ込みになるのは、如何な物かと」
「クロウ。説明した様に、こいつは今体調が優れねえ。その上、バンシルは今日忙しくてスグリを見て居られねぇんだぞ?俺が見て何が悪い」
「悪くは御座いません。が…」
クロウがそこで寝椅子にちらりと目をやると、姫は助けを求める小動物のような目をしてクロウの事を見ました。
「…スグリ様ご本人も、遠慮なさっておられる様にお見受け致します」
「…そりゃあ…」
クロウとサクナが姫の方を見ると、姫は首をこくこくさせて、大きく頷いておりました。
三人を眺めていたバンシルは、溜め息を吐きながら口を開きました。
「…と申しますか、姫様の体調を芳しく無くさせたのは、こちらに居られるどなた様かでいらっしゃるような気がしないでも御座いませんけど」
「…そりゃあ…」
そこでバンシルとクロウとサクナが姫の方を見ると、姫は首がもげそうな位ぶんぶんと、激しく頷いておりました。
「いや、そりゃあ…お前達の言う通りかもしれねえ。だが、こいつを部屋で一人にして置くってのは駄目だ。この状態じゃ、用が有っても誰か呼ぶって訳にも行かねぇだろ」
バンシルは、それは一体どなた様のせいですかと言いたかったのですが、バンシル自身も後の予定が詰まっていたので、サクナを諌めている時間はありません。バンシルは仕方なく、苦情をどうにかこうにか飲み込みました。
「ご当主様、スグリ姫様、バンシル様」
その様子を見ていたクロウが、また口を開きました。
「何だよ」
「私に提案が御座います。こうなさっては如何でしょう」
クロウはそう言って、三人の顔をぐるりと見回しました。
サクナは姫を抱いたまま居間に連れて行き、寝椅子に下ろして朝食の場に赴き、姫の分を用意させて居間に戻って躊躇う姫を言いくるめて食事を摂らせ、顔には出さないものの呆れて見ていた家令と侍女に、こうなった経緯を差し支えの無い範囲で説明致しました。
そして、今日の予定について、姫も含めた三人に宣言したのです。
「…サクナ様?」
スグリ姫がサクナの宣言について何か言いたげなのに、どうにも言葉が出て来ないらしいのを見て、クロウが口を開きました。
「何だよ」
「口実が有るからと言って、堂々とスグリ様を執務室にお連れ込みになるのは、如何な物かと」
「クロウ。説明した様に、こいつは今体調が優れねえ。その上、バンシルは今日忙しくてスグリを見て居られねぇんだぞ?俺が見て何が悪い」
「悪くは御座いません。が…」
クロウがそこで寝椅子にちらりと目をやると、姫は助けを求める小動物のような目をしてクロウの事を見ました。
「…スグリ様ご本人も、遠慮なさっておられる様にお見受け致します」
「…そりゃあ…」
クロウとサクナが姫の方を見ると、姫は首をこくこくさせて、大きく頷いておりました。
三人を眺めていたバンシルは、溜め息を吐きながら口を開きました。
「…と申しますか、姫様の体調を芳しく無くさせたのは、こちらに居られるどなた様かでいらっしゃるような気がしないでも御座いませんけど」
「…そりゃあ…」
そこでバンシルとクロウとサクナが姫の方を見ると、姫は首がもげそうな位ぶんぶんと、激しく頷いておりました。
「いや、そりゃあ…お前達の言う通りかもしれねえ。だが、こいつを部屋で一人にして置くってのは駄目だ。この状態じゃ、用が有っても誰か呼ぶって訳にも行かねぇだろ」
バンシルは、それは一体どなた様のせいですかと言いたかったのですが、バンシル自身も後の予定が詰まっていたので、サクナを諌めている時間はありません。バンシルは仕方なく、苦情をどうにかこうにか飲み込みました。
「ご当主様、スグリ姫様、バンシル様」
その様子を見ていたクロウが、また口を開きました。
「何だよ」
「私に提案が御座います。こうなさっては如何でしょう」
クロウはそう言って、三人の顔をぐるりと見回しました。