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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第11章 休息と責任
「執務室の中ではなく、続きの間でお休みになられては如何でしょう?扉を開ければいらっしゃるのですから、あちらの部屋で休まれているよりはご安心なのでは?」
「…まあ、そうかもな…」
「私もご様子を見に伺えますし、執務室との間に扉が一枚御座いますので、スグリ様も気兼ねなくお休みになれるかと」
「そうね!お仕事の邪魔は、したくないもの!」
姫はクロウの言葉に、満面の笑みでうんうんと頷きました。
「…仕方ねぇな…じゃあ、そうするか…」
サクナがしぶしぶ折れ、クロウが長椅子を運びましょうと出て行くと、バンシルが不機嫌そうなサクナに近寄って声を掛けました。
「ご当主様?」
「…何だよ…」
「私が居ないからって、あんまり調子にお乗り遊ばしやがらないで下さいましね?」
バンシルは口元だけでにっこり笑い、彼女の大事な幼馴染みで主で乳兄弟である姫の暴走しがちな婚約者に釘を刺しました。
「姫馬鹿も、度が過ぎると傍迷惑です。どうぞ大概になさいませ」
(静かだわねー…)
騒動のあと。
クロウと使用人が執務室の控えの間に運んでくれた長椅子に、姫はクッションと上掛けと共に収まりました。
控えの間は簡易応接室のように使われている部屋です。長い時間過ごす為の場所では無いので、普段は一人掛けと二人掛けの簡素な椅子と低い机だけが置かれてます。
その場所を姫が居心地よく過ごせるように整えて貰い、ここで一日大人しくしていることになったのです。
サクナからは仕事が一段落したら顔を出すと言われ、クロウには時々見に参りますと言われ、バンシルには今以上に調子を崩すような事はお控え下さいと言われ、姫は大事にされ過ぎて申し訳ない気持ちになりました。
…とは言え、大事にされ過ぎている相手の中の一名は、この不調の原因でもあるのですが。
そんな事を考えているうちに姫はうとうと眠くなり、しばらく眠ってしまいました。
目を覚まし、体勢を変えようともぞもぞ動いていて、執務室との間の扉が目に入りました。
扉の間から、光が差しています。
この部屋は外に面しておらず、高い位置に明かり取りの窓が有るだけです。執務室には外が見える広い窓が有るので、この部屋よりも明るいのでしょう。
誰かがしたのか自然にそうなったのか分かりませんが、光が漏れているという事は、扉に隙間があるという事です。
スグリ姫の心に、むずむずと悪戯心が湧きました。
「…まあ、そうかもな…」
「私もご様子を見に伺えますし、執務室との間に扉が一枚御座いますので、スグリ様も気兼ねなくお休みになれるかと」
「そうね!お仕事の邪魔は、したくないもの!」
姫はクロウの言葉に、満面の笑みでうんうんと頷きました。
「…仕方ねぇな…じゃあ、そうするか…」
サクナがしぶしぶ折れ、クロウが長椅子を運びましょうと出て行くと、バンシルが不機嫌そうなサクナに近寄って声を掛けました。
「ご当主様?」
「…何だよ…」
「私が居ないからって、あんまり調子にお乗り遊ばしやがらないで下さいましね?」
バンシルは口元だけでにっこり笑い、彼女の大事な幼馴染みで主で乳兄弟である姫の暴走しがちな婚約者に釘を刺しました。
「姫馬鹿も、度が過ぎると傍迷惑です。どうぞ大概になさいませ」
(静かだわねー…)
騒動のあと。
クロウと使用人が執務室の控えの間に運んでくれた長椅子に、姫はクッションと上掛けと共に収まりました。
控えの間は簡易応接室のように使われている部屋です。長い時間過ごす為の場所では無いので、普段は一人掛けと二人掛けの簡素な椅子と低い机だけが置かれてます。
その場所を姫が居心地よく過ごせるように整えて貰い、ここで一日大人しくしていることになったのです。
サクナからは仕事が一段落したら顔を出すと言われ、クロウには時々見に参りますと言われ、バンシルには今以上に調子を崩すような事はお控え下さいと言われ、姫は大事にされ過ぎて申し訳ない気持ちになりました。
…とは言え、大事にされ過ぎている相手の中の一名は、この不調の原因でもあるのですが。
そんな事を考えているうちに姫はうとうと眠くなり、しばらく眠ってしまいました。
目を覚まし、体勢を変えようともぞもぞ動いていて、執務室との間の扉が目に入りました。
扉の間から、光が差しています。
この部屋は外に面しておらず、高い位置に明かり取りの窓が有るだけです。執務室には外が見える広い窓が有るので、この部屋よりも明るいのでしょう。
誰かがしたのか自然にそうなったのか分かりませんが、光が漏れているという事は、扉に隙間があるという事です。
スグリ姫の心に、むずむずと悪戯心が湧きました。