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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第11章 休息と責任
「どうぞ、お召し上がり下さい」
「…いただきます…」
スグリ姫は長椅子の上で縮こまりながら、クロウが淹れてくれたお茶に口を付けました。きれいな紅のお茶を一口飲んで、大きく一息つきました。
夢中になっている間は感じませんでしたが、暖かいお茶を頂くと、手や足がぽかぽかして来ました。確かに体が冷えていた様です。
「美味しい!…いい匂い…お茶なのに、お菓子みたい…!!」
「幾つかの果物と、体の温まる香辛料が入っております。お口に合ってよろしゅう御座いました」
「そうなのね!とっても美味しいわ…どうもありがとう!」
姫はお茶の美味しさとクロウの心遣いが嬉しくて、心からにっこりと笑いました。
「お一人でこうしておられても、退屈されるでしょう。サクナ様の話でも、お聞かせ致しましょうか?」
「えっ!?ええ、ぜひ!」
スグリ姫は、クロウの言葉に目を輝かせて頷きました。
「かしこまりました。では出来るだけ、アダンから聞いていらっしゃらない様な話を致しましょうか…」
クロウは、一人掛けの椅子を姫の斜め前に移動させ、腰掛けました。それから姫に断って自分の分のお茶も淹れ、一口飲んで、話を始めました。
先代当主が存命だった頃のサクナの幼い時の事や、姫と一緒に居ない時のサクナがしている仕事、一年の仕事の流れなどを、姫に聞かせられる範囲で話しました。
スグリ姫は、話の聞き手として、大変優秀でした。
上手に相槌を打ち、話を聞く表情を次々と変える姫を前にすると、とても気持ち良く話が弾みました。
そればかりでなく、話をしているクロウの方が、聞き手である姫から目を離せなくなるほどでした。
その様は大変好ましい上にとても愛らしく、クロウは話が一段落したところで、自分でも思わぬことを口に出してしまいました。
「…スグリ様?」
「なにかしら、クロウさん?」
姫はクロウが淹れ直した花の香りのするお茶を美味しそうに飲みながら、クロウににっこり笑いかけました。
「おつむりを触らせては頂けませんかな?」
「え?おつむり?」
「頭のことです。」
「ああ、頭…」
スグリ姫は、サクナが姫の髪は触ると落ち着くといっていたことを思い出しました。
(あー、そっか!こういうまっすぐの髪の人って、南の方じゃあ珍しいものねー!)
姫は、ここに来てから出会った人々や、見かけた人々を思い出しました。
「…いただきます…」
スグリ姫は長椅子の上で縮こまりながら、クロウが淹れてくれたお茶に口を付けました。きれいな紅のお茶を一口飲んで、大きく一息つきました。
夢中になっている間は感じませんでしたが、暖かいお茶を頂くと、手や足がぽかぽかして来ました。確かに体が冷えていた様です。
「美味しい!…いい匂い…お茶なのに、お菓子みたい…!!」
「幾つかの果物と、体の温まる香辛料が入っております。お口に合ってよろしゅう御座いました」
「そうなのね!とっても美味しいわ…どうもありがとう!」
姫はお茶の美味しさとクロウの心遣いが嬉しくて、心からにっこりと笑いました。
「お一人でこうしておられても、退屈されるでしょう。サクナ様の話でも、お聞かせ致しましょうか?」
「えっ!?ええ、ぜひ!」
スグリ姫は、クロウの言葉に目を輝かせて頷きました。
「かしこまりました。では出来るだけ、アダンから聞いていらっしゃらない様な話を致しましょうか…」
クロウは、一人掛けの椅子を姫の斜め前に移動させ、腰掛けました。それから姫に断って自分の分のお茶も淹れ、一口飲んで、話を始めました。
先代当主が存命だった頃のサクナの幼い時の事や、姫と一緒に居ない時のサクナがしている仕事、一年の仕事の流れなどを、姫に聞かせられる範囲で話しました。
スグリ姫は、話の聞き手として、大変優秀でした。
上手に相槌を打ち、話を聞く表情を次々と変える姫を前にすると、とても気持ち良く話が弾みました。
そればかりでなく、話をしているクロウの方が、聞き手である姫から目を離せなくなるほどでした。
その様は大変好ましい上にとても愛らしく、クロウは話が一段落したところで、自分でも思わぬことを口に出してしまいました。
「…スグリ様?」
「なにかしら、クロウさん?」
姫はクロウが淹れ直した花の香りのするお茶を美味しそうに飲みながら、クロウににっこり笑いかけました。
「おつむりを触らせては頂けませんかな?」
「え?おつむり?」
「頭のことです。」
「ああ、頭…」
スグリ姫は、サクナが姫の髪は触ると落ち着くといっていたことを思い出しました。
(あー、そっか!こういうまっすぐの髪の人って、南の方じゃあ珍しいものねー!)
姫は、ここに来てから出会った人々や、見かけた人々を思い出しました。