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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第11章 休息と責任
「雌獅子や女狐が手ぐすね引いて舌なめずりしてる巣に、あいつを一人で放り込めってか…」
茶会がまるで魔窟か何かであるかの様に言われて、ローゼルはむっとしました。
「念の為申し上げておきますけど、私も同席の予定ですわよ」
ローゼルに居丈高に言われて、今度はサクナがむっとしました。
「お前、スグリが茶会でえげつねぇ事されたとして、止められんのかよ」
「…可能性は、ゼロでは無いわ」
「…果てしなくゼロに近ぇでしょうがね…」
押さなくても良い太鼓判を押されたローゼルはビスカスを嫌な顔で見て、ビスカスは首をすくめました。
「じゃあ、お前んちの女ぎつ…奥方様が、わざわざ茶会を開いてまで呼び出した相手を、本当に茶だけ飲ませて帰すなんてことが有り得るのかよ」
「…可能性は…ゼロでは無いわ…」
「まあ、有り体に言ってゼロですね」
止せば良いのにビスカスがまた口を挟み、今度はギロリと睨まれました。
「…絶望的だな…」
「皆様方」
どんより曇った顔を突き合わせている三人を見ていたクロウは、咳払いして彼の意見を述べました。
「奥方様は別として、大奥様は厳しい方ですが、良識有る人格者でいらっしゃいます。長老会議で認められた嫁御様に、今更ご無体な事はなさらないでしょう…余程突拍子も無い事が起こらない限り」
「クロウ」
クロウが常識的な意見を言い終えた瞬間、サクナが口を開きました。
「何で御座いましょう、サクナ様」
「お前、スグリが茶会でうっかり嵌められて、突拍子も無ぇ事をしでかさねえと言い切る自信が有るか?」
「…失礼ながら、全く御座いません」
「…ですよね…」
「…でしょうね…」
スグリ姫の口癖は、「うっかり」です。
うっかりが口癖と言うことは、うっかり何かが起こってしまう前に、自分で気付いて止められることが少ない、という事でありました。
「…ほら見ろ…不安しか感じねぇだろうが…」
今度は全員がどんよりしましたが、ローゼルがその空気を破りました。
「それを何とかするために、先に知らせに参りましたのよ」
「そうか。そうだよな。理由も聞かずに怒鳴って悪かった、ローゼル。詫びと礼を言う」
「…いいえ。それで、どうなさいますの?」
殊勝な態度になったサクナにローゼルはそう尋ね、サクナは溜め息を吐いて自分が出て来た扉を眺めました。
「とりあえず、招待される本人に、説明しねえといけねぇな」
茶会がまるで魔窟か何かであるかの様に言われて、ローゼルはむっとしました。
「念の為申し上げておきますけど、私も同席の予定ですわよ」
ローゼルに居丈高に言われて、今度はサクナがむっとしました。
「お前、スグリが茶会でえげつねぇ事されたとして、止められんのかよ」
「…可能性は、ゼロでは無いわ」
「…果てしなくゼロに近ぇでしょうがね…」
押さなくても良い太鼓判を押されたローゼルはビスカスを嫌な顔で見て、ビスカスは首をすくめました。
「じゃあ、お前んちの女ぎつ…奥方様が、わざわざ茶会を開いてまで呼び出した相手を、本当に茶だけ飲ませて帰すなんてことが有り得るのかよ」
「…可能性は…ゼロでは無いわ…」
「まあ、有り体に言ってゼロですね」
止せば良いのにビスカスがまた口を挟み、今度はギロリと睨まれました。
「…絶望的だな…」
「皆様方」
どんより曇った顔を突き合わせている三人を見ていたクロウは、咳払いして彼の意見を述べました。
「奥方様は別として、大奥様は厳しい方ですが、良識有る人格者でいらっしゃいます。長老会議で認められた嫁御様に、今更ご無体な事はなさらないでしょう…余程突拍子も無い事が起こらない限り」
「クロウ」
クロウが常識的な意見を言い終えた瞬間、サクナが口を開きました。
「何で御座いましょう、サクナ様」
「お前、スグリが茶会でうっかり嵌められて、突拍子も無ぇ事をしでかさねえと言い切る自信が有るか?」
「…失礼ながら、全く御座いません」
「…ですよね…」
「…でしょうね…」
スグリ姫の口癖は、「うっかり」です。
うっかりが口癖と言うことは、うっかり何かが起こってしまう前に、自分で気付いて止められることが少ない、という事でありました。
「…ほら見ろ…不安しか感じねぇだろうが…」
今度は全員がどんよりしましたが、ローゼルがその空気を破りました。
「それを何とかするために、先に知らせに参りましたのよ」
「そうか。そうだよな。理由も聞かずに怒鳴って悪かった、ローゼル。詫びと礼を言う」
「…いいえ。それで、どうなさいますの?」
殊勝な態度になったサクナにローゼルはそう尋ね、サクナは溜め息を吐いて自分が出て来た扉を眺めました。
「とりあえず、招待される本人に、説明しねえといけねぇな」