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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第11章 休息と責任
「スグリ?」
「ん…サクナ…?」
うとうとしていたスグリ姫は、呼びかけられて目が覚めました。
「寝てるとこ悪ぃな。ちっと話したいことが」
「…おかえりー…」
スグリ姫はサクナにぎゅうっと抱き付き、サクナは反射で姫を抱き締め返し手癖で頭を撫でました。
「ごめんなさい、すごく眠いの…昨日なかなか寝かせて貰えなか…っ!?」
そこでやっと目を開けたスグリ姫は、周りに人が居るのに気付いて固まりました。

「クロウさんっ!!…ビスカスさんっ!?…ろっ…ローゼル様っ?!」
「…お二方…」
「…お邪魔して、宜しかったんですかね…」
「…いい加減になさって頂きたいものね…」

クロウに加えて先程までは影も形も無かった人々が決して広くない部屋に、それぞれ無表情に、決まり悪そうに、真っ赤な顔で眉を顰めて、立っていました。
それを見たスグリ姫は、赤くなってから青くなり、気が遠くなりそうになりました。

「ご、ごめんなさいぃらっしゃいませ…きゃ!」
「おい!」
スグリ姫は慌てて立ち上がろうとして、かくんと脚から崩れかけました。
「こら、無理すんな」
「ごめっ…うっかり忘れてた…」
姫は寸での所で自分を抱き留めたサクナの腕にしがみつき、サクナは目の前の姫の髪に習慣で口づけました。
その後二人とも周りに人が居たことを思い出し、はっとして少し離れました。
それからサクナは姫を抱き上げて、壊れ物のようにそっと丁寧に長椅子の上に下ろしました。スグリ姫は大人しく、されるがままに長椅子に収まって、俯きました。

「お前に大事な話が有る」
床にひざまずいて姫の膝に上掛けを掛けてやりながら、サクナが言いました。
「大事なお話?」
「ああ。ローゼルとビスカスは、それを知らせに来てくれたんだ」
顔にかかっている絹糸の様な髪を指で除けて耳にかけてやりながらそう言うと、姫は紅く染まった顔を上げ、潤んだ上目遣いでサクナを見上げました。

「…お二方…」
「…本当に、お邪魔して、宜しかったんですかねー…」
「…私、なんだか馬鹿らしくなって来ましたわ…」
部屋中がシロップ浸けの果物の瓶の中になったかの様な空気を感じた一同は、うんざりした顔になりました。
このままでは、姫に事前に話をして備えて貰うという目的を果たす前に、茶会の使者が来てしまいます。
クロウは全力でシロップ浸けから抜け出すと、咳払いして一つの提案を致しました。
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