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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「おはようございます、姫様」
「おはよう、バンシル」
茶会の朝になりました。
スグリ姫はきちんと寝床から離れて、清々しい気持ちでバンシルを迎えることが出来ました。

「今日は顔色が宜しいですね」
産まれた時から姫付きの侍女は、大事な朝に主が寝不足では無さそうな事に安堵しました。
スグリ姫はもともと寝起きの良い性質では有りません。この夏からは、姫をしばしば寝不足に陥れる不埒な人物が現れた為、益々寝起きが怪しくなりました。苦労の絶えない姫付きの侍女には、大事な用のある日の前日には気をつける様に主と婚約者に釘を刺す、という仕事が新たに加わっておりました。

「ええ。昨日はちゃんと眠ったし、体調も良いわ。髪より先にドレスを着た方が良いわよね?」
「そうですね」
姫はきちんと掛けられた皺のないドレスを、バンシルの手を借りずに身に着けました。この地の衣装は、都のドレスとは造りも着方も違います。それに、バンシルは知らない事でしたが、姫はバンシルの見ていない所でも二回ほど脱ぎ着をしておりましたので、手伝って貰うよりも一人で着た方が手早く着ることが出来たのです。

「ん、着れたわ。変なとこ無い?」
「とてもよくお似合いですよ、姫様。虫刺されも無いようで、何よりです」
バンシルの誉め言葉を聞いたスグリ姫は、ありがと、と言いながら、見えないところには付いてるみたいだけどね、とこっそり思いました。けれど、自分でそれを見た訳ではないので、黙って知らん振りをしておきました。

「今日は、指輪以外もお着けになるんですよね?」
椅子に座った姫の髪を梳きながら、バンシルは姫が誕生日に貰った装飾品をちらっと見ました。
髪型を決めた時に姫が身に着けていたので、おそらく今日もそうするだろうと思ったのです。
「ええ。着けるのは最後で大丈夫よね?」
「大丈夫ですよ。むしろ、先に着けたら邪魔ですね」
「…出掛ける前に、サクナが着けてくれるって」
姫は指輪を撫でながら、指輪の石と同じくらい頬を紅く染めました。
バンシルは姫の様子を微笑ましく思う反面、その婚約者が鼻の下を伸ばしている様子を想像してうんざりしました。

「いかにも当主様の言いそうな事ですね。急に虫刺されが増えたりしない様に、気を付けて下さいよ」
「大丈夫よーう」
今日が緊張を強いられる茶会である事を全く気にしていない姫は、呑気にバンシルに言いました。
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