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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「支度できたら、そろそろ出……っ!?」
「あら、ご当主様。おはようございます」
「お前ら…何やってんだ?!」
「そうですね、これは浮気の現場」
バンシルは顔を上げられずにいる姫を、これ見よがしに抱き締めました。

「…な訳が有って堪るかってんだよ!!!!」
「もちろんです。いつもの冗談です」
「相手がお前だとスグリがお前を好き過ぎて、毎回毎回冗談に聞こえねぇっつんだよ!!」
「ええ、本当に惜しいことですわ。私が男に産まれてさえ居れば、冗談などでは無かったでしょうに」
「冗っ談っじゃねえよ!!お前が男だとしても、産まれた時から一緒でも、同じ乳母の乳を飲んだ仲でも、とにかくスグリは」
バンシルとサクナが毎度のことでやいやい言い争っていると、スグリ姫が突然がばっとバンシルの肩から身を起こしました。

「…姫様?」
「…スグリ?」
突然バンシルから離れ、無言のままで顔を手で覆っている姫に、バンシルとサクナは心配そうに声を掛けました。
「…大丈夫…」
スグリ姫はそう呟くと、顔を覆っていた手を除けて、にこっと笑いました。

「ごめんなさい、バンシル。お化粧して、出掛けないといけない時間よね。…ごめんなさいサクナ、もう少しだけ、待ってて?」
「姫様」
「なあに?」
バンシルは姫の強張った笑顔に溜息を吐いて、お願いが御座います、と軽く頭を下げました。

「そろそろ、侍女見習い達が来る時間です。今後のために同席させて、お支度の仕上げの様子を見せたいのですが、宜しいですか?」
「え?…ええ、もちろん」
事前に何も聞いていなかった事を頼まれたスグリ姫は面食らいましたが、言われた事は筋の通った、今後を考えた提案です。異論はありません。

「有難うございます。では、彼女達を迎えに行って、説明した上でこちらに連れて参ります」
バンシルはそこで言葉を切って、サクナの方にちらりと目をやりました。
「その間、姫様をお願いできますか?」
「…ああ」
サクナが請合うとバンシルは、有難うございます、しばらく失礼いたしますとお辞儀をして部屋から出て行きました。

「…大丈夫か?」
サクナはバンシルが立ち去ると近寄って、毎月のあれが来るのはまだ先だったよなと思いながら、姫を抱き寄せました。
「ええ、大丈夫よ。ごめんなさい、ちょっと淋しくなっちゃっただけ」
そう答えた姫は婚約者を抱き返して、軽く目を閉じました。
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